アミノ酸とDNAの関係

Posted on 2024年 11月 6日

アミノ酸とDNAの関係は、遺伝情報がタンパク質へと変換される仕組みにおいて非常に重要です。DNAは、遺伝子ごとにアミノ酸の配列情報を含んでおり、その情報に基づいてアミノ酸が結合し、特定のタンパク質が形成されます。この遺伝情報がDNAからタンパク質へと変換される過程には、mRNAと呼ばれるメッセンジャーRNAの働きが関わります。

DNAとアミノ酸の関係

  1. コドンとアミノ酸
  • DNAの塩基配列は、タンパク質を構成するアミノ酸の配列を決定します。この塩基配列が転写されてmRNAになると、3つの塩基の組み合わせで「コドン」と呼ばれる単位が形成されます。コドンは20種類のアミノ酸のいずれかに対応しており、例えば、コドン「AUG」はメチオニンを指定します。
  1. 翻訳とアミノ酸の配列
  • mRNAがリボソームで読み取られ、tRNAがアミノ酸を運んでくることで、アミノ酸が特定の順序で並び、ポリペプチド鎖(タンパク質)が形成されます。こうして、DNAに保存された遺伝情報が、アミノ酸の配列を通して具体的なタンパク質へと変換されます。

ストップコドン(終止コドン)

ストップコドン(終止コドン)は、タンパク質合成を終了させるためのシグナルとなる特別なコドンで、mRNA上に配置されている3つの終止コドン(UAA、UAG、UGA)のいずれかがこれに当たります。これらのコドンは、アミノ酸に対応するtRNAが存在しないため、リボソームがそれらを読み取ると、翻訳が止まり、ポリペプチド鎖の伸長が終了します。

  • ストップコドンの役割
    ストップコドンは、タンパク質が必要な長さで終わるように設定されており、無駄なアミノ酸が付加されることを防ぎます。適切な位置にストップコドンがないと、異常に長いタンパク質が作られ、機能を果たさない場合や、逆に有害な影響を与えることもあります。
  • 翻訳の終結
    ストップコドンに到達すると、リボソームはポリペプチド鎖から離れ、完成したタンパク質がリボソームから解放されます。これにより、mRNAにコードされた情報が正確に反映されたタンパク質が生産されます。

コドンとそれに対応するアミノ酸の一覧は以下の通りです。コドンは3つの塩基からなる配列で、計64種類あり、これらのうち61種類は20種類のアミノ酸に対応しています。残りの3つはストップコドン(終止コドン)として、タンパク質合成を終了させるシグナルを担います。

コドンとアミノ酸対応表

コドンアミノ酸コドンアミノ酸コドンアミノ酸コドンアミノ酸
UUUフェニルアラニン (Phe)UCUセリン (Ser)UAUチロシン (Tyr)UGUシステイン (Cys)
UUCフェニルアラニン (Phe)UCCセリン (Ser)UACチロシン (Tyr)UGCシステイン (Cys)
UUAロイシン (Leu)UCAセリン (Ser)UAA終止 (Stop)UGA終止 (Stop)
UUGロイシン (Leu)UCGセリン (Ser)UAG終止 (Stop)UGGトリプトファン (Trp)
CUUロイシン (Leu)CCUプロリン (Pro)CAUヒスチジン (His)CGUアルギニン (Arg)
CUCロイシン (Leu)CCCプロリン (Pro)CACヒスチジン (His)CGCアルギニン (Arg)
CUAロイシン (Leu)CCAプロリン (Pro)CAAグルタミン (Gln)CGAアルギニン (Arg)
CUGロイシン (Leu)CCGプロリン (Pro)CAGグルタミン (Gln)CGGアルギニン (Arg)
AUUイソロイシン (Ile)ACUトレオニン (Thr)AAUアスパラギン (Asn)AGUセリン (Ser)
AUCイソロイシン (Ile)ACCトレオニン (Thr)AACアスパラギン (Asn)AGCセリン (Ser)
AUAイソロイシン (Ile)ACAトレオニン (Thr)AAAリシン (Lys)AGAアルギニン (Arg)
AUGメチオニン (Met)ACGトレオニン (Thr)AAGリシン (Lys)AGGアルギニン (Arg)
GUUバリン (Val)GCUアラニン (Ala)GAUアスパラギン酸 (Asp)GGUグリシン (Gly)
GUCバリン (Val)GCCアラニン (Ala)GACアスパラギン酸 (Asp)GGCグリシン (Gly)
GUAバリン (Val)GCAアラニン (Ala)GAAグルタミン酸 (Glu)GGAグリシン (Gly)
GUGバリン (Val)GCGアラニン (Ala)GAGグルタミン酸 (Glu)GGGグリシン (Gly)

特記事項

  • 開始コドン:「AUG」はメチオニン(Met)を指定し、タンパク質合成の開始を指示します。
  • 終止コドン:UAA、UAG、UGAの3つは、タンパク質合成を終了させるためのシグナルです。終止コドンには対応するアミノ酸がないため、ここで翻訳が終わります。

この表により、mRNAのコドンがどのアミノ酸に対応するかがわかり、DNAにコードされた情報がアミノ酸配列として具体化される仕組みが明らかになります。

まとめ

DNAはアミノ酸の配列情報を持っており、その情報がコドン単位でmRNAに転写され、リボソームで読み取られることでタンパク質が合成されます。ストップコドンは、このタンパク質合成の終結を示すシグナルとして働き、必要な長さのタンパク質を正確に生産するために不可欠な要素です。この一連のプロセスにより、DNAの情報が生命活動の基本を担うタンパク質に変換されます。