qfPCR(Quantitative Fluorescent PCR)とqPCR(Quantitative PCR、リアルタイムPCR)は、いずれもDNAの量を定量的に測定する技術ですが、主に以下の点で異なります。
1. 主な目的と用途の違い
- qPCR
qPCRは、リアルタイムでDNAやRNAを増幅し、その増幅過程を観察しながら目的の遺伝子の量を定量的に測定します。qPCRは遺伝子発現解析、病原体検出、ウイルスの定量など幅広い用途に使用されます。 - qfPCR
qfPCRは、染色体異常の検出や特定の遺伝子コピー数の変異(CNV)検出に特化しています。特に、特定の染色体のコピー数異常(例:ダウン症候群などのトリソミー)の検出や出生前診断に利用されます。
2. 蛍光シグナルの使用方法
- qPCR
qPCRでは、蛍光色素(例:SYBR Green)や蛍光プローブ(例:TaqManプローブ)を用いて、増幅産物の生成量をサイクルごとにモニタリングします。増幅されたDNA量に比例して蛍光シグナルが強くなり、リアルタイムでの観測が可能です。 - qfPCR
qfPCRでは、特定のDNA配列に結合する蛍光ラベル付きプライマーやプローブを使用し、増幅後に蛍光シグナルを検出します。増幅過程をリアルタイムで観測するのではなく、最終的な蛍光シグナルの強度から増幅産物の量を定量的に評価します。
3. リアルタイム測定の有無
- qPCR
qPCRは、増幅サイクルごとに蛍光シグナルが増加するため、リアルタイムでの測定が可能です。これにより、目的の遺伝子量をリアルタイムに追跡でき、増幅効率も評価できます。 - qfPCR
qfPCRは、増幅サイクルごとに観測するのではなく、増幅後の蛍光強度を測定する方法です。そのため、qPCRのようなリアルタイム観測ではありませんが、最終的な定量評価に重点を置いています。
4. 用途に応じた設計
- qPCRは、一般的な定量PCRで幅広い用途に対応しており、特定の遺伝子やウイルス量を高精度に定量する目的で使用されます。
- qfPCRは、染色体数や遺伝子のコピー数変異の検出に特化しており、迅速な診断結果が求められる出生前診断や染色体異常検出で特に有効です。
まとめ
- qPCRはリアルタイムで遺伝子の量を追跡・定量でき、幅広い遺伝子解析や発現解析に利用されます。
- qfPCRは、染色体数異常や遺伝子のコピー数変異を蛍光シグナルで最終的に測定する手法で、染色体異常の診断や出生前診断に適しています。
このように、qPCRとqfPCRは使用する蛍光シグナルの方法や主な用途に違いがあり、それぞれの目的に応じて最適な技術が選ばれています。