「劣性遺伝子」とは、対立遺伝子の組み合わせにおいて、形質が表れにくい方の遺伝子を指します。例えば、ある特定の形質を決定する遺伝子が2つあり、1つが「優性遺伝子」、もう1つが「劣性遺伝子」とされている場合、優性遺伝子が存在する方の形質が現れやすくなり、劣性遺伝子の形質は現れにくくなります。両方の遺伝子が劣性である場合にのみ、その形質が発現します。
ABO式血液型を例にすると、O型の遺伝子はA型やB型の遺伝子に対して劣性であるため、両親からO型の遺伝子を受け継がないとO型にはなりません。
なお、「劣性」という表現は「劣った性質」という意味ではなく、単に形質が現れにくいことを指しています。そのため、誤解を避けるために「劣性遺伝子」を「潜性遺伝子」と呼ぶことが推奨されています。
劣性遺伝子が原因で発症する病気の一例として「フェニルケトン尿症」があります。この疾患は、フェニルアラニンというアミノ酸を分解する酵素の働きが弱いため、体内にフェニルアラニンが蓄積し、精神発達に影響を与える可能性があります。