血液検査でわかるがんの可能性

Posted on 2024年 11月 13日

がんの早期発見は治療成功のカギとなりますが、がんは初期段階では症状が現れにくいことも多く、定期的な検査が重要です。血液検査は、がんの兆候をいち早く捉えるための簡便な検査方法として注目されており、特定の腫瘍マーカーの測定や一般的な血液検査を通じてがんの可能性を示唆することが可能です。ここでは、がん検査としての血液検査の役割やその種類、メリットについて解説します。

1. 血液検査によるがんの検出方法

血液検査を用いたがんの検出は、以下の方法が主に用いられます。

  • 腫瘍マーカー検査
    血液中に特定の物質(腫瘍マーカー)が増加することで、がんの可能性を示唆することがあります。腫瘍マーカーは、がん細胞が産生する物質や、がんの影響で体内で生成される物質です。がんの種類によって測定される腫瘍マーカーが異なり、以下が代表的なものです。
    • AFP(α-フェトプロテイン):肝臓がんで上昇することが多い。
    • PSA(前立腺特異抗原):前立腺がんの診断や経過観察に利用される。
    • CA125:卵巣がんの診断で用いられる。
    • CEA(癌胎児性抗原):大腸がんや胃がん、肺がんなどで上昇する可能性がある。
    • CA19-9:膵臓がんや胆道がんで使用される腫瘍マーカー。
    ただし、腫瘍マーカーはがんの存在を示す目安ではありますが、がんがない場合でも上昇することがあり、逆にがんがあっても上昇しないケースもあります。そのため、腫瘍マーカーだけでがんを確定することは難しく、他の検査と組み合わせて診断を行うことが一般的です。
  • 一般的な血液検査
    血液の成分や細胞の状態を調べる一般的な検査も、がんの兆候を把握するのに役立つことがあります。
    • 白血球数の異常:血液のがんである白血病では、白血球の数や種類に異常が見られることがあります。
    • 貧血の有無:貧血が進行している場合、大腸がんや胃がんが原因となっている可能性があります。慢性的な出血が見られると、赤血球数やヘモグロビン濃度が低下します。
    • CRP(C反応性蛋白)や炎症マーカー:慢性の炎症ががんと関係する場合もあり、炎症マーカーの増加が見られることがあります。
  • 新しい血液検査技術(リキッドバイオプシー)
    最近の研究では、がん細胞から血中に放出されるDNAやRNAを検出する技術が注目されています。これにより、早期のがんや転移を確認することが可能となるため、将来的ながん診断の一助となると期待されています。

2. 血液検査のメリットと限界

  • メリット
    • 手軽に受けられる:血液検査は比較的簡単に実施でき、負担が少ない検査です。
    • 早期の兆候を捉えやすい:腫瘍マーカーを測定することで、がんの可能性を早期に発見する助けになります。
    • 経過観察に役立つ:がんの治療効果や再発リスクの評価にも利用され、治療計画の見直しに役立つことがあります。
  • 限界
    • 確定診断が難しい:腫瘍マーカーの上昇が必ずしもがんを意味するわけではなく、炎症や他の病気が原因で増加する場合もあります。そのため、血液検査だけでがんの確定診断を行うことはできません。
    • がんの種類によって効果が異なる:腫瘍マーカーの有用性はがんの種類によって異なり、すべてのがんで腫瘍マーカーが明確に上昇するわけではありません。

3. 血液検査を受ける際のポイント

  • 定期的な検査が重要
    がんの早期発見を目指すためには、定期的な血液検査を受けることが大切です。特に、がんのリスクが高いとされる人(家族歴がある人など)は、積極的に検査を受けましょう。
  • 医師と相談する
    血液検査で異常が見られた場合でも、過度に不安を感じず、必ず医師に相談してください。他の検査と合わせて総合的に判断することが重要です。