「優性遺伝子」とは、対立遺伝子の組み合わせにおいて、形質が表れやすい方の遺伝子を指します。優性遺伝子が存在すると、その形質が発現しやすく、劣性遺伝子の形質は現れにくくなります。優性遺伝子は、片方の親から受け継いだ1つだけでもその特徴が現れるため、優性遺伝の形質は比較的高い頻度で表れます。
たとえば、ABO式血液型では、A型やB型の遺伝子はO型の遺伝子に対して優性です。そのため、A型の遺伝子を持つ人は、O型の遺伝子を持っていてもA型として現れます。また、B型も同様に、O型に対して優性であるため、B型の形質が表れます。
この「優性」という言葉は「優れている」という意味ではなく、単に形質が現れやすいことを示しています。
優性遺伝子が関与する病気として「ハンチントン病」があります。ハンチントン病は神経変性疾患で、特定の優性遺伝子が原因です。この病気の場合、片方の親から優性の病的遺伝子を受け継ぐだけで発症する可能性が高くなります。つまり、病気の遺伝子が優性であるため、その遺伝子を1つ持っているだけで発症するリスクがあります。
ハンチントン病の主な症状には、運動の制御が難しくなる「舞踏病」や、精神状態の変化、認知機能の低下などが含まれます。このように、優性遺伝の病気は、発症リスクが親から子に高い確率で受け継がれるため、家族歴がある場合は特に注意が必要です。
このように、「優性遺伝子」は優れた性質や劣った性質に関わらず、どちらの形質にも関与しうることを示しています。