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APOE(アポリポプロテインE)遺伝子は、脂質やコレステロールの輸送に関与するタンパク質をコードする遺伝子であり、アルツハイマー病(AD)との関連が広く研究されています。APOE遺伝子には**3つの主要なタイプ(アレル)**があります:APOE ε2、APOE ε3、APOE ε4。
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APOEの各タイプとアルツハイマー病との関係
- APOE ε2
- 保護的効果があるとされています。
- APOE ε2を持つ人はアルツハイマー病のリスクが低下する傾向があります。
- 遺伝子型例:ε2/ε2、ε2/ε3。
- APOE ε3
- 最も一般的なアレル(中立的)。
- アルツハイマー病リスクには特に影響を与えないと考えられています。
- 遺伝子型例:ε3/ε3(一般的なタイプ)。
- APOE ε4
- アルツハイマー病のリスク因子として知られています。
- ε4アレルを1つ持つ場合(ε3/ε4)、アルツハイマー病のリスクが約2~3倍に増加します。
- ε4アレルを2つ持つ場合(ε4/ε4)、リスクは10倍以上に増加する可能性があります。
- ε4は病気の発症年齢を早めることもあります。
メカニズム
APOE ε4がアルツハイマー病のリスクを増加させる理由は完全には解明されていませんが、以下のようなメカニズムが提案されています:
- アミロイドβの代謝異常:アミロイドβが脳に蓄積しやすくなる。
- 神経炎症:APOE ε4は炎症を促進する可能性がある。
- 血液脳関門の障害:神経保護の低下を招く。
注意点
- APOE ε4を持っていることは、必ずしもアルツハイマー病を発症するわけではありません。環境要因(食事、運動、教育水準など)や他の遺伝要因も大きく影響します。
- 逆に、APOE ε4を持っていない人でもアルツハイマー病を発症することがあります。
臨床的意義
- APOE遺伝子検査は、個人のアルツハイマー病リスクを予測するのに用いられる場合がありますが、現在のところ診断目的では広く推奨されていません。
- 予防的介入や治療法の研究において、APOE遺伝子型が重要な指標となっています。
価格
19800円(税込)