タダラフィルの分子構造

タダラフィルの分子構造

この記事の概要

タダラフィル(Tadalafil)は、フォスホジエステラーゼタイプ5(PDE5)阻害剤の一種で、商標名シアリス(Cialis)で広く知られています。勃起不全(ED)の治療薬として使用されるほか、肺高血圧症の治療にも用いられます。

タダラフィルの分子構造

タダラフィルの化学名は、1,2,3,4-テトラヒドロ-β-カルボリン-6-カルボキサミドであり、正式な化学式はC₂₂H₁₉N₃O₄です。この分子は、いくつかの特徴的な化学構造を持っています:

β-カルボリン環:

    • タダラフィルの中核を形成する複雑な窒素含有ヘテロサイクルです。この環は、その生物学的活性に寄与し、PDE5との相互作用を助けます。

    ベンゼン環:

      • 分子の一部としてベンゼン環が含まれており、脂溶性を高めることで体内での吸収と代謝を助けます。

      メトキシ基:

        • ベンゼン環に結合しているメトキシ基(-OCH₃)は、分子の水溶性と生物学的活性に影響を与えます。

        カルボキサミド基:

          • 分子の活性部位として機能し、タダラフィルが酵素と結合する際の重要な役割を果たします。
          パソコンを見る医者たち

          分子の作用機序

          タダラフィルは、PDE5酵素がcGMP(環状グアノシン一リン酸)を分解するのを阻害します。cGMPは平滑筋のリラクゼーションを促進し、特に陰茎の血管に作用して血流を増加させることで勃起を助けます。タダラフィルによるPDE5の阻害は、性的刺激がある場合に限りcGMPのレベルを高め、より強く持続的な勃起を促します。

          この分子構造と作用機序により、タダラフィルは効果が長持ちすることで知られており、その効果は最大36時間に及ぶことがあります。この特性が、タダラフィルを他の同様の薬剤と区別する主な理由の一つです。

          記事の監修者