いつの間にか肌に現れた黒いシミやほくろ。しかも日がたつにつれ、濃く、大きくなっているような気がする…。単なる老化現象と思い、放置しているうちに黒く大きなシミとなり「皮膚がん」ではないかと不安に感じる方は少なくありません。シミやほくろにはさまざまな種類があり、自己判断で放置することは非常に危険です。気になるシミやほくろは小さなうちに皮膚科で診察をおこないましょう。
<目次>
シミの原因と注意が必要な黒いシミ
年齢とともに増えていく「シミ」。おもな原因は紫外線により皮膚が刺激を受けて、メラノサイトというシミを生み出す細胞が活性化し、メラニンが過剰生成されることにあります。そのためシミは紫外線を浴びやすい顔や腕、手の甲などに多く発症するとされています。
しかし、まれに紫外線の影響が少ない手のひらや、足の裏、爪などに黒いシミが発症することがあります。この場合、悪性黒色腫という病気の可能性があるため、早期の診察・治療が大切です。悪性黒色腫はメラノーマとも呼ばれ、初期はほくろやシミと見分けがつきにくいため、知らず知らずのうちに症状が進行してしまうことも少なくありません。
悪性黒色腫(メラノーマ)はシミに似た皮膚がん
悪性黒色腫(メラノーマ)はメラノサイトが、がん化した腫瘍とされています。頭皮から爪まで、身体中どこにでも発症する皮膚がんです。
悪性黒色腫(メラノーマ)のおもな特徴は、「左右非対称」「色むらがある」「褐色から黒いシミへと変化する」「短期間でシミが6ミリ以上に大きくなる」「シミが硬い」などが挙げられます。これらのセルフチェックで2個以上当てはまるようであれば、早めに皮膚科で検査を受けましょう。ただし、色素の薄い悪性黒色腫(メラノーマ)もあるため注意が必要です。
高齢者の場合、顔面に悪性黒色腫(メラノーマ)が発症しやすいとされています。60歳以上で肌に黒いシミが現れ、色濃く大きくなるようであれば、悪性黒色腫(メラノーマ)の可能性は高いといえるでしょう。
高齢者に悪性黒色腫(メラノーマ)が発症しやすい理由は、長期に渡り紫外線を浴びたことによる光老化が原因といわれています。悪性黒色腫(メラノーマ)の発症を防ぐためには日頃から、UVクリームなどで紫外線から肌を守ることが大切です。
急にほくろができたらダーモスコピー検査を
ダーモスコピー検査とは、特殊なライトがついた拡大鏡により皮膚の状態を詳しく診察する検査のことです。皮膚採取などはおこなわないため痛みはなく、また保険適用の検査となります。ダーモスコピー検査により、悪性黒色腫(メラノーマ)か、良性の色素沈着などであるかを調べることができます。
急にほくろができた、シミが色濃くなって大きくなってきた、など肌に異変を感じた際はダーモスコピー検査を受けることで早期発見・早期治療が望めます。ただし、すべての医療機関がダーモスコピー検査をおこなっているとは限らないため、診察の前に確認をすると良いでしょう。
悪性黒色腫(メラノーマ)も転移する
悪性黒色腫(メラノーマ)はシミやほくろに似た皮膚がんです。悪性黒色腫(メラノーマ)が小さなうちに手術をおこない、腫瘍をすべて除去することができれば完治することができる病気です。しかし、単なるシミやほくろと思い込み、発見・治療が遅れたことで全身にがんが転移することも少なくありません。
悪性黒色腫(メラノーマ)は抗がん剤や、放射線治療の効果が少ないがんとされています。これらのことから、どんな小さなシミやほくろでも異変を感じた際は、必ず医師の診察を早期に受けることが重要といえるでしょう。
かゆみをともなうシミの原因とは
悪性黒色腫(メラノーマ)以外にも、早期診断・早期治療が望ましいシミがあります。かゆみをともなう薄褐色〜茶色のシミとなり、おもに「皮膚そう痒症」「接触性皮膚炎」「脂漏性角化症」「乳房外パジェット病」などが挙げられます。
●皮膚そう痒症
皮膚そう痒症は発疹などの炎症がないのに、かゆみが引き起こる皮膚の病気です。同じ部位に発症し、かいてしまうことで色素沈着となり、やがて薄褐色や茶色のシミとなってしまいます。
皮膚そう痒症の原因はさまざまです。加齢による皮膚の乾燥やストレス、また妊婦さんにも見られます。内科の病気が隠れている場合もあるため、長期にかゆみが続くようであれば注意が必要です。
●接触性皮膚炎
接触性皮膚炎とは一般的にいうと、皮膚かぶれのことです。皮膚が外部刺激を受けたり、アレルギー反応によって引き起こります。多くは赤みをともなう炎症ですが、同じ部位に発症を繰り返すことで、色素沈着が起こりシミとなります。
接触性皮膚炎の原因はさまざまです。肌に合わない化粧品や汗、服の摩擦などが挙げられます。敏感肌の方だけでなく、免疫力が低下している時に発症することがあるため、早めに受診しましょう。
●脂漏性角化症
脂漏性角化症とは加齢を原因とする良性腫瘍のことで、一般的に老人性いぼと呼ばれています。長期間にわたり、紫外線をあびていた場合は30代からでも発症する皮膚の病気です。約5ミリ未満から大きいもので10センチほどの盛り上がりのあるシミとされています。シミの色は薄褐色から黒色までとさまざまです。
脂漏性角化症はまれに炎症を起こし、かゆみをともなうことがあります。盛り上がりのシミが気になり指で触れてしまう、また爪で引っ掻いたりすることのないよう注意してください。
いぼが治るとうたう市販薬もありますが、老人性角化症は市販内服薬や外用薬での完治は見込めません。かならず医師の診察を受けてください。
●乳房外パジェット病
乳房外パジェット病とはアポクリン腺の多い部位に発症する皮膚がんのことです。脇や陰部、肛門周囲の表皮内に発症します。真菌症や湿疹などと似た症状とされ、赤みをともない、カサカサとして色素沈着(もしくは色素抜け)や、かゆみを引き起こす場合があります。
乳房外パジェット病の原因はわかっていませんが、60歳以上の高齢者に多い皮膚がんとされています。転移も多い皮膚がんであり、治療法は手術で切除となります。病変を切除する際、約1〜3センチ健康な皮膚も切除が必要となるため、皮膚の再建手術をおこないます。
乳房外パジェット病は、がんの転移や再発も少なくない病気です。また、陰部や肛門周囲などに皮膚の異変を感じても、恥ずかしさから診察に抵抗があり、皮膚がんの発見が遅れてしまう方も少なくありません。かゆみをともなうカサつきやシミ(色素沈着)に気づいた際は必ず早期受診・早期治療をおこなってください。
危ないほくろやシミを見逃さないためにヒロクリニックで早期受診を
ほくろやシミは気づかぬ間に肌に現れます。短期間でほくろやシミが色が濃くなり、大きくなる、または長期間かゆみをともなうなど異変を感じた際は、必ず早期受診を心がけましょう。
ほくろやシミは身体中、どこにでもあらわれます。年に一度、自身の肌を隅々まで観察し、危険なほくろやシミがないか、セルフチェックをおこないましょう。また、ほくろや、シミの原因ともいえる紫外線を日頃から防ぐことが何より大切です。
ヒロクリニックでは形成外科・皮膚科、内科も併設しております。皮膚の症状を診察し、その病症に他科での検査が必要な際は、迅速に診察をおこなうことができます。肌に突然現れたほくろやシミが気になっても忙しく、あちらこちらの病院へ行く時間がとれない方は、ぜひヒロクリニックへお越しください。どんな小さなほくろやシミも丁寧に診察し、万が一の皮膚がんの早期発見に努めています。肌のお悩みはヒロクリニックへ何でもご相談ください。
【参考文献】
- がん情報サービス – 悪性黒色腫(皮膚)
- 筑波大学 – 皮膚がんについて
- メディカルルック – “かゆみ”がある皮膚の茶色いシミの対処法は?
- がんの先進医療 – 皮膚がんとは
- 日本皮膚悪性腫瘍学会 – 皮膚癌について