皮膚科におけるCO2レーザー治療:臨床的概要と最新の展開
CO2レーザーとは何か?どのように作用するのか?
二酸化炭素(CO2)レーザーは、波長10,600ナノメートル(nanometers)の赤外線を照射する装置であり、水に非常によく吸収される特性を持っています。人間の皮膚の80%以上は水分で構成されているため、このレーザーは皮膚の水分に吸収されることで、標的となる組織を正確に加熱・蒸散(vaporization)させることができます。
この技術は1964年にPatelらによって開発され、Kaplanらの研究により臨床応用が進展しました。当初は外科的処置に用いられていましたが、現在では審美的治療にも広く用いられています。CO2レーザーの主な作用は、20〜50マイクロメートル(microns)の深さで組織を蒸散し、出血を最小限に抑え、炎症を軽減し、治癒を促進することです。

CO2レーザーの種類
CO2レーザーには主に2種類が存在します。
1つ目は非フラクショナル型(non-fractionated CO2 lasers)で、広範囲の皮膚を均一に照射します。
2つ目はフラクショナル型(fractionated CO2 lasers)で、さらに以下に分かれます。
- アブレーティブ型(ablative fractional):皮膚の表面を削り取るタイプ
- ノンアブレーティブ型(non-ablative fractional):表皮を残しつつ真皮に熱エネルギーを届けるタイプ
フラクショナル型では、微小な熱損傷領域(microscopic thermal zones)を点在させて照射することで、周囲の正常組織を温存し、回復を早める効果があります。照射モードには連続波(continuous wave)、パルス波(pulsed wave)、ウルトラパルス波(ultrapulsed wave)があり、ウルトラパルス波は周囲の熱損傷を最小限に抑える利点があります。

主な臨床応用
よく見られる皮膚疾患への適応
CO2レーザーは以下のような疾患や病変に広く使用されています。
尋常性疣贅(warts)や尖圭コンジローマ(condyloma acuminatum)では、局所麻酔下で中心病変を蒸散し、深部まで処理することが可能です。ただし、ウイルスDNAを含む蒸散煙が発生するため、煙吸引装置の使用が重要です。

脂漏性角化症(seborrheic keratosis)には、層状に正確に蒸散させることで、通常1〜2回の治療で除去が可能です。
日光角化症(actinic keratosis)は、以前は前がん病変とされていましたが、現在は表皮内有棘細胞癌(in situ squamous cell carcinoma)と見なされています。フラクショナルCO2レーザーや光線力学療法(photodynamic therapy, PDT)との併用により効果が向上します。
表皮母斑および脂腺母斑(epidermal and sebaceous nevi)は、美容目的で除去されることが多く、CO2レーザーによる処理は再発率が低く、良好な美容結果をもたらします。
真皮性母斑(dermal nevi)に対しては、特に顔面において瘢痕を最小限に抑えた治療が可能です。治療の際にはダーモスコピー(dermoscopic guidance)による評価が推奨されます。

良性付属器腫瘍(benign appendageal tumors)、特に眼瞼周囲の黄色腫(xanthelasma)、汗管腫(syringoma)、稗粒腫(milia)、脂腺増殖症(sebaceous hyperplasia)には、ウルトラパルスCO2レーザーが有効です。
酒さの進行型である鼻瘤(rhinophyma)には、Nd:YAGレーザー(血管成分)との併用により、繊維化組織の輪郭を整える治療が行われます。
連続波CO2レーザーは、神経線維腫(neurofibroma)や結節性血管腫(angiofibroma)の外科的切除にも使用されますが、色素脱失を伴う瘢痕が残ることがあり、美容目的には不向きです。

タトゥー除去においては、現在ではピコ秒レーザーやQスイッチNd:YAGレーザーなど色素選択性の高い機器が主流であり、CO2レーザーの使用は減少しています。
瘢痕修正(scar revision)では、成長因子(例:bFGF, TGF-β1)の産生を促し、コラーゲン新生を活性化することで、萎縮性ニキビ瘢痕の50〜80%に改善が見られます。
悪性腫瘍では、外科切除が困難な抗凝固療法中の患者に対して、基底細胞癌(basal cell carcinoma)の治療に選択的に使用されます。ただし、病理的な完全切除の確認ができない点が制約です。
フォトリジュビネーション(photorejuvenation)においては、フラクショナルCO2レーザーが、シワやニキビ痕の改善に効果的です。近年では、PRP(多血小板血漿)や凍結乾燥成長因子(lyophilized growth factors)との併用でさらなる効果が期待されています。

CO2レーザーの利点と特徴
CO2レーザーは以下のような特長を持ちます。
周囲の組織への損傷を抑えつつ高精度での処置が可能であり、出血も少なく治癒が早いのが特長です。眼周囲などの敏感部位にも安全に使用できるうえ、通常は瘢痕が残りにくく、治療後の制限(入浴、運動など)も少ないため、審美目的での顔面治療にも適しています。

川口市のヒロクリニックにおける施術の流れ
川口駅から徒歩3分のヒロクリニック皮膚科・形成外科では、以下の流れでCO2レーザー治療が行われます。
初診時には皮膚科または形成外科医による診察で状態を評価し、治療可能かを判断します。当日は必要に応じてメイクを落とし、施術部位を再確認します。局所麻酔後、5〜15分程度で施術が完了します。術後は軟膏とテープで保護され、日焼け止めの使用などアフターケアの指導が行われます。

主な副作用とリスク
一時的な赤み(紅斑)、腫れ、かさぶた形成が見られることがあります。また、軽度の色素沈着や瘢痕、深い病変では陥凹が生じる場合もあります。再発の可能性もあり、治療後は紫外線対策が非常に重要です。
ヒロクリニックでの料金(2025/03/27現時点)
- ほくろ(7mm未満):¥11,000
- ほくろ(7mm以上):¥16,500
- 盛り上がったシミ(1cm未満):¥5,500
- 盛り上がったシミ(1cm以上):¥11,000
- スキンタッグ(1個):¥2,200
- スキンタッグ(10個):¥22,000(追加10個ごとに¥18,700)
- 稗粒腫(1個):¥5,500
フラクショナルCO2レーザーの進展
ニキビ瘢痕への応用
Zhangらによる2020年のメタアナリシスでは、300人以上の患者を対象とした8件の研究を分析し、以下の知見が得られました。
フラクショナルCO2レーザーは、エルビウムレーザー(erbium lasers)、脂肪移植(fat grafting)、化学ピーリング(chemical peels)など他の治療と同程度の効果を示しました。重篤な合併症はなく、紅斑や腫脹などの副作用も軽度で一過性でした。フォローアップ期間の長短による効果の差は明確ではありませんでした。
最も効果が高まるのは、ピーリングやサブシジョン(subcision:瘢痕下組織を切断する方法)、マイクロニードリング(microneedling)などとの併用時でした。

手術瘢痕への応用
Jiらによる2025年のシステマティックレビューでは、14件の研究(計492名)を対象とし、以下が報告されました。
CO2フラクショナルレーザーによって、手術瘢痕の外観が有意に改善されました。特に術後1ヶ月以内に介入を開始した場合に最も効果的であり、単回の治療でも改善が認められました。最適な効果を得るためには2〜3回の治療が推奨されています。
評価にはVSS(Vancouver Scar Scale)が最も一貫性を持って用いられ、POSAS(Patient and Observer Scar Assessment Scale)やMMSS(Modified Manchester Scar Scale)はややばらつきがありました。レーザーのエネルギー設定よりも、治療時期と頻度が結果に大きく影響することが示されました。

歴史的背景と技術的原理
技術の歴史
CO2レーザーは1964年にPatelらによって開発され、Kaplanらの臨床研究により皮膚科領域へ導入されました。2000年代にはフラクショナル技術が加わり、安全性と精度が飛躍的に向上しました。
作動メカニズム
CO2レーザーは水分を多く含む組織を層状に蒸散させ、真皮の加熱を通じてコラーゲン新生(neocollagenesis)と真皮再構築(dermal remodeling)を促します。特にフラクショナルモードでは深さ最大2mmまで到達可能です。

安全性、副作用、患者への配慮
代表的な副作用
治療後数日から数週間にわたって紅斑や腫脹が続く場合があります。痛みは通常48時間以内に軽減し、かゆみも軽度です。単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus)の再活性化が起こることがあり、アシクロビルなどの抗ウイルス薬による予防が推奨されます。
治療後色素沈着(post-inflammatory hyperpigmentation, PIH)や色素脱失(hypopigmentation)はまれに発生します。瘢痕や感染といった重篤な合併症はまれですが、術後のケア不足が原因となることがあります。
安全対策
施術中は保護ゴーグルの着用と蒸散煙の吸引が必須です。皮膚には局所麻酔あるいは麻酔クリームが使用され、術後はヒアルロン酸や抗菌性軟膏などによるアフターケアが行われます。

結論
CO2レーザー治療は、皮膚科における中核的治療の一つとして今なお重要な地位を占めています。良性および悪性病変、瘢痕修正、美容目的の皮膚再生に至るまで、広範な適応を持ち、特にフラクショナル技術と併用療法の進展により、安全性と有効性が大きく向上しています。早期介入、個別対応、施術者の技術が、2025年現在において最良の治療成果を得る鍵とされています。

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引用文献
- 川口市の形成外科・皮膚科は川口駅から徒歩3分のヒロクリニック|皮膚科・形成外科の専門治療ならヒロクリニック. (2022年6月13日). Retrieved 27 March 2025, from https://www.hiro-clinic.or.jp/dermatology/course/co2laser/
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