粉瘤(アテローム)の摘出法について

粉瘤(アテローム)は、皮膚の下にできる嚢胞性の腫瘍で、皮脂腺が詰まることで発生します。多くの場合、粉瘤は感染すると痛みを伴い、切開や摘出が必要になることがあります。粉瘤の摘出には主に「くり抜き法」と「スピンドル切開(紡錘形切開)」の2つの方法が用いられます。それぞれの特徴や利点、欠点を詳しく比較し、患者さんの状態に応じた選択について解説します。


1. くり抜き法

概要
くり抜き法は、パンチと呼ばれる専用の器具を使用して、粉瘤の中心部分に小さな穴を開け、粉瘤を嚢ごと取り出す方法です。パンチの直径は5mmから8mm程度が一般的です。

メリット

  1. 傷が小さい
    切開の範囲が最小限に抑えられるため、術後の瘢痕が目立ちにくい。
  2. 短時間で処置可能
    手技が比較的シンプルで、局所麻酔を使用して短時間で終了します。
  3. 縫合が不要な場合が多い
    小さい傷の場合、自然に治癒することも可能で、縫合の必要がないケースもあります。

デメリット

  1. 再発のリスク
    粉瘤の袋(嚢)が完全に取りきれない場合、再発する可能性があります。
  2. 大きな粉瘤には適さない
    直径が大きい粉瘤や炎症が進行している場合は、適応が難しい。
  3. 感染(炎症)している場合は不向き
    感染が広がっている場合、くり抜き法では十分な排膿や感染管理が困難です。感染(炎症)している場合にはとりあえず、切開排膿(一文字に切って中の膿を出す)を行い感染(炎症)が治ってから3ヶ月ほどして全切除を行うことが望ましいです。

2. 紡錘形切開による全切除

概要
スピンドル切開は、粉瘤の周囲の皮膚を紡錘形(スピンドル状)に切開し、嚢胞全体を取り除く方法です。この方法では、粉瘤の袋を完全に取り出すことを目的とします。

メリット

  1. 再発のリスクが低い
    嚢胞全体を視認しながら取り除けるため、再発のリスクが極めて低い。
  2. 感染した粉瘤にも対応可能 <ーお勧めしませんが
    炎症や感染が進行している粉瘤でも適用可能。
  3. 大きな粉瘤に適している
    サイズが大きい場合でも確実に摘出できる。

デメリット

  1. 傷跡が目立ちやすい
    切開範囲が広くなるため、術後に瘢痕が残る可能性が高い。
  2. 処置時間が長い
    手技が複雑で、縫合も必要なため、処置に時間がかかる。
  3. 患者への負担がやや大きい
    傷が大きくなる分、術後の痛みやケアが必要になることがあります。

3. どちらの方法が適しているか?

粉瘤の大きさや状態、患者さんの希望によって適切な方法が異なります。以下に具体的な選択基準を示します。

くり抜き法が適しているケース

  • 小さい粉瘤(直径が1–2cm程度)で、炎症や感染がない。
  • 傷跡をできるだけ目立たせたくない。
  • 短時間での処置を希望する。

スピンドル切開が適しているケース

  • 大きい粉瘤(直径が3cm以上)の場合。
  • 再発を確実に防ぎたい。

4. 両方法の比較表

特徴くり抜き法スピンドル切開
傷の大きさ小さい大きい
再発リスクやや高い低い
処置時間短い長い
適応粉瘤の大きさ小さい粉瘤に適している大きい粉瘤や感染に対応可能
感染への対応不向き対応可能
手術の方法による違い

5. まとめ

粉瘤の摘出には、患者さんの状態やニーズに応じて、適切な方法を選択することが重要です。くり抜き法は、傷を最小限に抑えたい場合や小さい粉瘤に適していますが、再発リスクがやや高い点に留意する必要があります。一方、スピンドル切開は再発リスクを最小限に抑え、大きな粉瘤や感染にも対応可能ですが、術後の瘢痕が目立つ可能性があります。ヒロクリニックの医師との相談の上、自分に最適な方法を選ぶことが重要です。

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