子どものアトピー治療:皮膚科での実際

子どものアトピー治療:皮膚科での実際

アトピー性皮膚炎は子どもに多い慢性的な皮膚疾患で、適切な治療とスキンケアが重要です。ここでは、皮膚科での具体的な治療方法についてまとめます。


1. 診断と評価

皮膚科では、以下の流れで診断・評価を行います。

  • 問診:発症時期、症状の悪化要因(食事、環境、ストレスなど)を確認
  • 視診:赤み、湿疹、乾燥、かゆみの程度をチェック
  • 検査(必要に応じて)
    • 血液検査(IgE値、アレルギーの有無)
    • 皮膚パッチテスト・プリックテスト(アレルゲンの特定)
    • 皮膚バリア機能検査(水分保持力など)

2. 基本治療

アトピー性皮膚炎の治療は、スキンケア・薬物療法・生活環境の改善の3本柱です。

① スキンケア

皮膚のバリア機能を守るために、毎日のスキンケアが重要です。

  • 入浴(1日1回)
    • ぬるめ(38~40℃)のお湯で優しく洗う
    • 刺激の少ない石鹸・ボディソープを使用
    • 強くこすらず、泡で洗う
  • 保湿(入浴後5分以内)
    • 保湿剤(ヒルドイド、ワセリン、尿素入りクリームなど)を塗布
    • 皮膚の乾燥を防ぎ、バリア機能を強化

② 薬物療法

皮膚科では症状の程度に応じて、以下の薬が処方されます。

  • ステロイド外用薬(炎症を抑える)
    • 軽症:弱め(ロコイド、キンダベートなど)
    • 中等症:中程度(リドメックス、フルコートなど)
    • 重症:強め(デルモベート、アンテベートなど)
    • 塗り方のポイント
      • 適量(FTU法:人差し指の第一関節分=手のひら2枚分)
      • 薄くではなく「適量をしっかり塗る」
      • 症状が改善したら減量(プロアクティブ療法)
  • タクロリムス(プロトピック)
    • ステロイドが使いづらい顔・首に適用
    • 2歳以上から使用可能
  • 抗ヒスタミン薬(かゆみを抑える)
    • ザイザル、アレグラ、アタラックスなど
    • かゆみで睡眠障害がある場合に処方
  • 抗菌薬(感染予防)
    • 悪化時に細菌感染を伴う場合、抗生剤を処方(セフェム系など)

③ 生活環境の改善

  • 衣類の工夫:綿素材を選び、チクチクしない服を着る
  • 室内環境:ダニ・ホコリ対策(掃除・空気清浄機・布団干し)
  • 食事の工夫:特定の食物アレルギーがある場合は除去
  • ストレス管理:睡眠不足やストレスで悪化するため、規則正しい生活を心がける

3. 皮膚科での治療の流れ

初診時

  1. 診察・問診
  2. スキンケアや薬の指導
  3. 必要に応じて検査

通院頻度

  • 軽症:1~2か月に1回
  • 中等症以上:2~4週間ごと
  • 急性増悪時:1週間に1回

4. 皮膚科での追加治療

① 紫外線療法(ナローバンドUVB)

  • 中等症~重症の場合に適用
  • 紫外線を照射し、炎症を抑える
  • 週1~2回の通院が必要

② 生物学的製剤(デュピクセント)

  • 重症のアトピーに適用
  • 2週間ごとの自己注射(6歳以上で使用可能)
  • ステロイドなどで効果が不十分な場合に選択

1. アトピー性皮膚炎とは?

アトピー性皮膚炎は、慢性的な炎症を伴う皮膚疾患で、かゆみを伴う湿疹が特徴です。遺伝やアレルギー体質、皮膚のバリア機能の低下が関与しています。

2. 皮膚科での治療方法は?

皮膚科では以下のような治療が一般的です。

  • スキンケア:保湿剤を用いたスキンケアで皮膚のバリア機能を改善。
  • 外用薬:ステロイド外用薬やタクロリムス(プロトピック)などを症状に応じて使用。
  • 抗アレルギー薬:かゆみを抑えるために抗ヒスタミン薬を処方することも。
  • 環境対策:ダニ・ハウスダスト対策、汗のケアなど

3. ステロイド外用薬は大丈夫? 副作用は?

ステロイド外用薬は、炎症を抑えるために効果的な治療薬です。適切に使用すれば副作用はほとんどありません。強さの異なる薬を症状に応じて使い分け、長期的には減量していきます。

4. 保湿剤はどれがいい?

皮膚の乾燥を防ぐために、ヘパリン類似物質(ヒルドイドなど)、尿素配合保湿剤、ワセリン などを使用します。肌質や症状に応じて医師が選択します。

5. 生活習慣で気をつけることは?

  • 入浴:熱すぎるお湯は避け、低刺激の石鹸を使用。
  • 衣類:綿素材の肌に優しいものを選ぶ。
  • 食事:バランスの良い食事をとり、特定の食品で症状が悪化する場合は医師に相談。
  • ストレス管理:かゆみが悪化しないように、子どものリラックスできる環境を整える。

6. アトピーは治る?

成長とともに改善するケースも多いですが、長期的なスキンケアと適切な治療が重要です。皮膚科の指導のもと、症状をコントロールしながらうまく付き合っていくことが大切です。


Q1: 保湿剤だけでは治療にならないのですか?

A:
保湿剤は、皮膚のバリア機能を回復させるために重要ですが、炎症を抑える効果はありません。炎症がある場合は、ステロイドやタクロリムス(プロトピック)などの抗炎症薬を適切に使う必要があります。


Q2: プロトピック(タクロリムス)はどのように使うべきですか?

A:
プロトピックは、ステロイドとは異なる免疫調整薬で、顔や首などのデリケートな部位に適しています。

  • ステロイドで炎症を抑えた後、再発予防のために週2〜3回塗る「プロアクティブ療法」にも使われます
  • 初めはピリピリすることがありますが、数日で慣れることが多いです

Q3: デュピクセント(デュピルマブ)とは何ですか?

A:
デュピクセント(デュピルマブ)は、重症アトピー性皮膚炎の患者に使用される生物学的製剤です。

  • IL-4, IL-13という炎症性サイトカインを抑制する
  • 皮膚科で2週間に1回の自己注射を行う
  • ステロイドや保湿剤でコントロールできない中等度〜重度のアトピー患者が対象

副作用としては、結膜炎や注射部位の反応が報告されています。


Q4: 子どもがかきむしらないようにするには?

A:

  • 爪を短く切る
  • 就寝時に綿手袋をつける
  • かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬を使用する

Q5: アトピーは治りますか?

A:
年齢とともに軽快することが多いですが、個人差があります。特に

  • 乳児期に適切な治療をすることで改善しやすい
  • 幼児期に湿疹が続く場合は、思春期以降も症状が残ることがある
  • 長期的なスキンケアと炎症管理が重要です。


まとめ

皮膚科での治療は「スキンケア+薬+生活習慣の改善」の3本柱
症状の程度に応じて、ステロイドやプロトピックを適切に使用
かゆみや感染を防ぐために、抗ヒスタミン薬や抗菌薬を併用することもある
重症例では紫外線療法や生物学的製剤を検討


アトピー性皮膚炎の治療は根気が必要ですが、適切な治療を続けることで症状をコントロールできます。定期的に皮膚科を受診し、医師の指導のもとでケアを継続しましょう!

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