がん遺伝子(オンコジーン)にはさまざまな種類があり、それぞれが異なるメカニズムでがんの発生や進行に関与します。以下に主要ながん遺伝子の種類とその機能について述べます。
主ながん遺伝子の種類
- RASファミリー遺伝子:
- KRAS, HRAS, NRAS: RAS遺伝子は細胞増殖を調節するシグナル伝達経路に関与しています。これらの遺伝子の変異は、多くの種類のがんで見られます。例えば、KRASの変異は大腸がん、肺がん、膵臓がんなどで頻繁に観察されます 。
- MYCファミリー遺伝子:
- c-MYC, N-MYC, L-MYC: MYC遺伝子は細胞増殖と代謝を促進する転写因子をコードしています。c-MYCの過剰発現は多くの種類のがんで見られ、N-MYCの異常は神経芽細胞腫に関連しています 。
- HER2/neu (ERBB2):
- HER2は乳がんや胃がんに関連する受容体型チロシンキナーゼです。HER2遺伝子の過剰発現や増幅は、これらのがんの進行に影響を及ぼします 。
- BCR-ABL:
- この遺伝子は慢性骨髄性白血病(CML)に関連しており、フィラデルフィア染色体異常によって形成されます。BCR-ABL融合タンパクは異常なチロシンキナーゼ活性を持ち、がん細胞の増殖を促します 。
- EGFR (Epidermal Growth Factor Receptor):
- EGFRは細胞増殖と分化に関与する受容体型チロシンキナーゼです。EGFRの変異や過剰発現は肺がん、頭頸部がんなどでよく見られます 。
まとめ
がん遺伝子の変異や異常は、がんの発生や進行に大きな関わりを持っています。このような遺伝子に対する理解は、がん治療のターゲット療法の開発にもつながっています。