NK細胞の採取は、患者自身の血液から行うのが一般的です。NK細胞は、血液中の白血球(特にリンパ球)の一種であるため、以下の手順で採取し、体外で増殖・活性化させた後に体内に戻します。
NK細胞の採取方法
- 血液採取
- 患者の血液を採取します。採取量は治療計画に応じて異なりますが、通常、数十ミリリットルから数百ミリリットル程度が必要です。採血は腕の静脈から行うことが多いです。
- 白血球分離
- 採取した血液からNK細胞を含む白血球(リンパ球)を分離します。これには、遠心分離機を使用して血液を成分ごとに分け、リンパ球層を取り出します。
- NK細胞の分離
- リンパ球層からNK細胞をさらに選別するために、細胞分離技術(フローサイトメトリーや磁気ビーズ法)などを用いる場合があります。ただし、必ずしも完全にNK細胞だけを取り出すわけではなく、増殖や活性化の過程でNK細胞が増加する方法がとられることもあります。
- NK細胞の増殖・活性化
- 分離したNK細胞を、体外で特別な培養液に入れて培養し、増殖・活性化させます。サイトカイン(IL-2やIL-15など)や、抗CD3抗体などが使用され、NK細胞が効率的に増加し、攻撃能力を高めるためのプロセスが行われます。この培養は、数日から1週間程度の期間が必要です。
- 体内への戻し(点滴注入)
- 活性化・増殖したNK細胞を患者の体内に点滴で注入します。この工程により、増加したNK細胞が血中を巡り、がん細胞や異常細胞に対して攻撃を行うようになります。
NK細胞採取の際の注意点
- 十分な血液量の確保:治療に必要なNK細胞数を確保するために、十分な血液量が必要です。体力が低下している患者には負担がかかる場合もあるため、採血量に配慮することが重要です。
- 無菌環境での操作:NK細胞の分離・増殖は無菌環境で行う必要があり、培養中の感染リスク管理が重要です。
- 副作用のモニタリング:注入後はNK細胞が活性化しているため、発熱や炎症反応が生じることがあります。これらの副作用をモニタリングし、適切な対応を行います。
まとめ
NK細胞療法では、患者自身の血液からNK細胞を分離し、増殖・活性化させて体内に戻すことで、がん細胞や異常細胞の排除を目指します。採取方法は基本的な採血によりますが、細胞の増殖・活性化の過程では高度な技術と環境管理が求められるため、専門の医療施設で行われる必要があります。