MSI検査とがんの関係

MSI(Microsatellite Instability:マイクロサテライト不安定性)検査は、特定の癌で遺伝的な不安定性を検出するための検査で、主に大腸がん子宮内膜がんなどで使われています。MSI検査は、腫瘍細胞がDNA修復機能の一部を失っているかどうかを調べる検査で、遺伝子の変異やミスマッチ修復(MMR)異常がある場合に高い不安定性が見られます。

MSI検査が注目される理由

  1. 予後の評価
    MSI-H(高マイクロサテライト不安定性)が見られる腫瘍は、他のタイプと比較して治療の反応や予後に違いがあることが知られています。MSI-Hのがんは、通常の治療に対して比較的反応が良い場合が多いです。
  2. 免疫チェックポイント阻害薬の適応
    MSI-Hがん患者は、免疫チェックポイント阻害薬(PD-1阻害剤など)の治療効果が期待されることが分かっています。この治療法は、がん細胞の免疫回避を防ぎ、体の免疫システムががん細胞を攻撃しやすくするものです。したがって、MSI検査結果に基づいて、患者が免疫療法の適応であるかどうかを判断することができます。
  3. 遺伝性のがんとの関係
    MSIは、遺伝性の大腸がんである「リンチ症候群」と関わりがある場合があります。リンチ症候群の患者では、高い確率でMSI-Hの特徴を持つがんが発生します。家族歴や遺伝性のリスクがある患者の場合、MSI検査を行うことで、遺伝的リスクについても理解を深めることができます。

MSI検査の流れ

MSI検査は、がん組織と正常な組織のDNAを比較して行います。腫瘍組織のサンプルが必要であり、生検(がんの組織サンプルを採取すること)や手術で取り出した腫瘍の一部を使用します。

  1. 腫瘍サンプルの採取
    大腸がんや子宮内膜がんの腫瘍組織を生検で採取します。
  2. 遺伝子解析
    マイクロサテライト(DNA内で繰り返される短い塩基配列)の変異を調べ、正常な組織と比較して不安定性が見られるかを判断します。
  3. 結果の解釈
    MSI-High(MSI-H)、MSI-Low(MSI-L)、Microsatellite Stable(MSS)などの結果が出され、MSI-Hが見られる場合は免疫療法などの治療法を検討することが推奨されます。

MSI検査は、がんの性質や治療選択に役立つ重要な検査で、特に免疫療法の適応や遺伝的リスク評価に役立ちます。

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