MRI(磁気共鳴画像法)検査でわかるがん

MRI(磁気共鳴画像法)検査は、磁場と電波を使って体内の詳細な画像を取得するため、特定の癌の検出や診断に非常に有用です。MRIは、特に軟組織(筋肉、臓器、神経など)の鮮明な画像を得るのが得意で、癌の種類や状態を確認するのに役立ちます。

以下に、MRI検査でよくわかる癌の種類を挙げます。

  1. 脳腫瘍
    MRIは脳の詳細な画像を提供するため、脳腫瘍の発見やサイズ、位置、広がりを確認するのに適しています。脳のMRIでは、腫瘍の性質(良性か悪性か)についても一定の情報が得られます。
  2. 脊髄腫瘍
    脊髄や神経にできた腫瘍の位置や状態をMRIで確認でき、特に脊髄を含む中枢神経系の診断に役立ちます。
  3. 乳がん
    MRIは乳房内の軟組織の変化を捉えやすいため、乳がんのスクリーニングに用いられることがあります。特に高リスク患者に対して、通常のマンモグラムに加えて使用される場合が多いです。
  4. 前立腺がん
    前立腺は軟組織のため、MRIで詳細に検出しやすく、前立腺がんの位置や進行度を確認するのに役立ちます。特に、高解像度MRIは前立腺内部の腫瘍を視覚化するのに優れています。
  5. 肝臓がん
    MRIは肝臓の状態や、腫瘍の有無を確認するのに有効です。特に、肝臓の血流のパターンや腫瘍の進行度を評価するため、CTスキャンと組み合わせて使用されることが多いです。
  6. 腎臓がん
    腎臓内の腫瘍や腫瘍の広がりを検出するのにMRIは適しています。造影剤を使うことで、腫瘍の性質をより詳しく評価できます。
  7. 骨や軟部組織の腫瘍
    骨や筋肉などの軟部組織に発生する腫瘍(骨肉腫や筋肉腫など)も、MRIでよく検出されます。これにより、腫瘍の位置や広がりを把握できます。
  8. 子宮がん・卵巣がん
    女性の骨盤内の腫瘍(子宮や卵巣など)もMRIで検出しやすく、腫瘍の大きさや拡がり、周辺組織への影響を確認するために利用されます。

MRIの利点と限界

  • 利点
    MRIは放射線を使用しないため被曝の心配がなく、特に軟組織の細部まで高解像度で確認できるのが特徴です。また、造影剤を使うとさらに精度が高まります。
  • 限界
    MRIではカルシウムを含む組織(例えば、肺の小さな腫瘍)は捉えにくく、CTの方が有効な場合もあります。また、装置が大きく時間がかかることや、強力な磁場を使うため、金属インプラントがある人は検査を受けられない場合があります。

MRIは癌の種類に応じてCTやPETと組み合わせて使われることも多く、より正確な診断に役立ちます。

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