乳がんとCTCの関係

乳がんとCTCの関係

乳がんの診断と治療モニタリングにおいて、さまざまな抗原が利用されます。これらの抗原は、乳がん細胞の表面に発現し、がんの特性や治療効果の評価に重要な役割を果たします。以下に、乳がんでよく用いられる主要な抗原を説明します。

1. HER2(ヒト上皮成長因子受容体2)

概要:

  • HER2は、乳がん細胞の増殖に関与する受容体タンパク質で、乳がん患者の約20%で過剰発現しています。

用途:

  • HER2の過剰発現は、がんの進行が早く、予後が悪いことと関連しています。
  • HER2陽性乳がん患者には、HER2を標的とした治療薬(例:トラスツズマブ(ハーセプチン))が使用されます。

参考文献:

2. ER(エストロゲン受容体)

概要:

  • ERは、エストロゲンホルモンに結合して細胞の増殖を促進する受容体タンパク質です。

用途:

  • ER陽性乳がんは、ホルモン療法(例:タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬)が効果的です。
  • ERの発現は、乳がん患者の治療方針を決定する上で重要なバイオマーカーです。

参考文献:

3. PR(プロゲステロン受容体)

概要:

  • PRは、プロゲステロンホルモンに結合する受容体タンパク質で、ERと同様に乳がん細胞の増殖に関与します。

用途:

  • PR陽性乳がんもホルモン療法の対象となり、ERと併せてホルモン受容体の状態を評価します。
  • PRの発現は、乳がんの予後や治療反応を予測するために使用されます。

参考文献:

4. Ki-67

概要:

  • Ki-67は、細胞増殖の指標となる核タンパク質で、増殖中の細胞で発現します。

用途:

  • Ki-67の発現レベルは、がん細胞の増殖速度を示し、がんの進行度や治療効果を評価するために使用されます。
  • 高いKi-67レベルは、より攻撃的ながんの特徴と関連しています。

参考文献:

5. EpCAM(エピセリウム細胞接着分子)

概要:

  • EpCAMは、上皮細胞の表面に発現する細胞接着分子であり、CTCの検出に広く利用されます。

用途:

  • EpCAM陽性CTCの検出は、乳がんの診断や治療モニタリングに使用されます。
  • EpCAMを標的とした免疫療法の研究も進行中です。

参考文献:

まとめ

乳がんの診断と治療モニタリングにおいて、HER2、ER、PR、Ki-67、EpCAMなどの抗原が重要な役割を果たしています。これらの抗原は、がんの特性を理解し、個別化医療を実現するための貴重な情報を提供します。

参考リンク

  1. American Cancer Society
  2. Breast Cancer Research
  3. Cancer Research
  4. Journal of the National Cancer Institute
  5. Nature Reviews Cancer

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