CTC(循環腫瘍細胞)から悪性新生物(がん)の種類を特定することは可能です。CTCの遺伝子解析や表面マーカーの解析を行うことで、がんの起源や特性を詳しく理解することができます。
方法と技術
1. 遺伝子解析
次世代シーケンシング(NGS):
- NGSを用いることで、CTCの全ゲノムシーケンスやエクソームシーケンスを行い、特定の遺伝子変異を特定することができます。
- これにより、がんの種類や起源を明らかにすることができます。例えば、EGFR変異は非小細胞肺がん(NSCLC)に多く見られ、KRAS変異は大腸がんに関連しています。
デジタルPCR(dPCR):
- dPCRを使用して、特定のがん関連遺伝子変異を高感度で検出できます。これにより、特定のがん種を特定することが可能です。
2. 表面マーカー解析
免疫染色:
- CTCの表面マーカー(例:EpCAM、CK、CD45)を標識する抗体を使用して、特定のがん細胞を識別します。
- 上皮系のがん(例:乳がん、前立腺がん、大腸がん)はEpCAM陽性であり、血液がんはCD45陽性です。
フローサイトメトリー:
- フローサイトメトリーを用いて、CTCの表面マーカーを同時に解析し、多様ながん種を特定します。
臨床応用の例
- 乳がん:
- HER2、ER、PRなどのマーカーの発現解析を通じて、乳がんの特性を明らかにします。HER2陽性CTCは、HER2標的治療の適応を示唆します。
- 前立腺がん:
- PSAやPSMAの発現を解析することで、前立腺がんの診断や治療モニタリングに役立ちます。PSMA陽性CTCは、前立腺がんの転移を示すことが多いです。
- 非小細胞肺がん(NSCLC):
- EGFR、ALK、ROS1などの遺伝子変異を解析することで、治療ターゲットを特定し、治療効果を予測します。
CTCの解析は、がんの種類を特定し、個別化医療の実現に向けた重要なツールとなります。遺伝子解析や表面マーカー解析を通じて、がんの特性を詳細に理解し、適切な治療戦略を立てることが可能です。