日本におけるCTC検出技術
日本では、CTC(循環腫瘍細胞)の検出と解析に関する研究や技術開発が進んでいます。以下に、日本での主要なCTC検出技術とその応用例を紹介します。
1. ClearCell FXシステム
概要:
ClearCell FXシステムは、AGCテクノグラスと共同で開発されたCTC検出システムで、CTCの分離と濃縮を高感度で行います。このシステムは、EpCAMやサイトケラチン(CK)などの標的抗原を利用してCTCを検出し、遺伝子解析や治療効果の評価に役立ちます。
2. マイクロフィルターデバイス
概要:
熊本大学の研究チームは、手のひらサイズのマイクロフィルターデバイスを開発しました。このデバイスは、光リソグラフィー、電鋳、3Dプリンティングを用いて製造され、血液サンプル中のCTCを高精度で検出します。この技術は、低コストで高感度なCTC検出を可能にし、早期がん診断や治療モニタリングに応用されています。
3. サイズ選択フィルタ技術
概要:
サイズ依存フィルタ技術は、CTCを血液中の他の細胞から分離するために、細胞のサイズの違いを利用します。特に、3Dパラジウムフィルタデバイスを用いた方法が開発されており、これにより、血液中のCTCを迅速かつ効率的に分離・濃縮できます。この技術は、遺伝子解析や治療効果のモニタリングに使用されます。
4. iFiltration™技術
概要:
GBC Precision MedicineのCellBio™製品は、特許取得済みのiFiltration™技術を用いてCTCを検出します。この技術は物理的なアプローチにより、CTCを高純度で捕獲し、迅速な解析を可能にします。CTCの高い回収率(95%)と高感度(単一細胞レベル)が特徴です。
臨床応用と将来の展望
日本におけるCTC検出技術は、がんの早期診断、治療効果のモニタリング、および再発の早期検出において重要な役割を果たしています。これらの技術は、がん患者の予後改善に貢献し、個別化医療の実現に向けた重要なステップとなっています。研究開発が進むにつれ、さらに精度の高い検出方法が登場することが期待されます。