がんゲノム医療パネル検査は、患者のがん細胞からDNAを解析し、特定の遺伝子変異や異常を見つけることで、その人に最適な治療法や薬剤を選ぶための検査です。これは、がん細胞に特有の遺伝子変異を明らかにし、個別化医療(患者ごとに治療を最適化するアプローチ)を実現することを目指しています。以下にがんゲノム医療パネル検査について説明します。
1. がんゲノムパネル検査の仕組み
がんゲノムパネル検査では、数百ものがん関連遺伝子を一度に調べられるよう、複数の遺伝子を解析できるパネル(セット)を使用します。患者の腫瘍組織や血液サンプルからDNAを抽出し、特定の遺伝子の変異や増幅、欠失を調べます。
2. がんゲノムパネル検査でわかること
- 治療標的の特定:特定の遺伝子変異が検出されると、その変異に対して有効な分子標的薬や免疫療法などの治療法が候補に挙がります。
- 予後の予測:一部の遺伝子変異は、がんの進行や再発リスクに関する予後の情報を提供します。
- 臨床試験の選択:特定の遺伝子変異に基づいて、適切な臨床試験への参加が推奨される場合があります。
3. 主なゲノムパネルの種類
- FoundationOne CDx や OncoGuide NCC Oncopanel などのパネルがあり、特定の遺伝子群に対して解析を行います。これらのパネルは、承認された遺伝子や治療法との関連性を調べるのに適しており、複数のがんのタイプに対応しています。
4. がんゲノムパネル検査の利点と限界
- 利点:遺伝子変異に基づいて、より効果的で副作用の少ない治療法を選択でき、治療の成功率を高める可能性があります。
- 限界:必ずしも治療に結びつく変異が見つかるわけではない点や、治療法があっても患者の状況によって使用できない場合もあります。また、費用や検査時間がかかることも課題です。
5. がんゲノムパネル検査の流れ
- 検査の同意と説明:医師から検査の目的やメリット・デメリットについて説明を受け、同意します。
- サンプルの採取:腫瘍組織や血液からサンプルを採取します。
- 遺伝子解析:専門機関で遺伝子の解析が行われます。
- 結果の解釈と治療方針の決定:検査結果に基づき、医師が最適な治療法を提案します。
がんゲノムパネル検査は、精密医療を推進するための重要な検査で、個別化されたがん治療を実現するための手段として期待されています。