AFP(αフェトプロテイン:Alpha-Fetoprotein)は、肝細胞がんや肝芽腫の診断や治療の評価に使われるがんマーカーです。AFPは胎児期に肝臓や卵黄嚢で産生されるタンパク質で、健康な成人では通常、血中濃度が非常に低くなります。しかし、肝細胞がんなど特定のがんでAFP値が高くなることがあります。
AFPの主な特徴
- 対象がん:肝細胞がん、肝芽腫、精巣がんなど
- 基準値:成人の血中AFP基準値は一般的に10 ng/mL以下とされます。これを超える値が見られた場合、肝臓に何らかの異常がある可能性が考えられます。
AFPが高値を示す場合
AFPはがんのほか、いくつかの肝疾患や病態でも上昇することがあります。具体的には以下のようなケースです:
- がん:肝細胞がん、肝芽腫(主に小児に発生)、精巣腫瘍(特に非セミノーマ腫瘍)
- 非がん性疾患:慢性肝炎や肝硬変、妊娠時(母体血中のAFPが高値になることがあります)
AFP検査の用途
- 肝細胞がんの診断補助:肝細胞がんが疑われる場合、AFP値の上昇が参考指標となりますが、確定診断には超音波やCT、MRIなどの画像検査が併用されます。AFPが異常に高い場合は肝細胞がんの可能性が高まります。
- 治療効果の評価:肝細胞がんの治療中にAFP値を定期的に測定し、治療が効果を発揮しているかを評価します。治療によってAFPが低下した場合、治療が効果的であると考えられます。
- 再発のモニタリング:治療後の再発監視としてAFPを測定します。AFPが再び上昇した場合、がんの再発を示唆する可能性があるため、追加検査が必要です。
AFP検査の注意点
- 確定診断には利用できない:AFPが高値を示しても、必ずしもがんであるとは限りません。慢性肝炎や肝硬変などの肝疾患でも上昇するため、画像検査など他の診断方法と組み合わせて評価が行われます。
- 全ての肝がん患者で上昇しない:一部の肝がん患者ではAFP値が高くならないこともあるため、AFP単独でがんの有無を判断することはできません。
まとめ
AFPは肝細胞がんや肝疾患の診断補助に利用される重要ながんマーカーですが、必ずしもがんの確定診断に使用されるものではなく、他の検査と合わせた総合的な診断が必要です。