はじめに
がんの診断、治療効果のモニタリング、再発の予測において、CTC(循環腫瘍細胞)とctDNA(循環腫瘍DNA)は重要なバイオマーカーとして利用されます。これら二つは共にがんに関する重要な情報を提供しますが、異なる特性と用途があります。本記事では、CTCとctDNAの違いについて詳しく解説します。
CTCとは?
定義
CTC(循環腫瘍細胞)は、がん患者の血液中に存在する生きた腫瘍細胞で、原発腫瘍から血流に乗って全身に拡散します。CTCはがんの進行や転移の指標として重要です。
特性
- 生きた細胞: CTCは生きた細胞であり、完全な細胞構造を持っています。
- 核を持つ: CTCには核があり、DNAを含むすべての細胞機能を持っています。
- 細胞特性の保持: CTCはがん細胞の特性をそのまま保持しており、遺伝的および表現型の特性を解析することができます。
- 転移の指標: CTCの存在はがんの転移の兆候を示し、転移リスクの評価に使用されます。
検出方法
- 免疫捕捉法: 特定の表面マーカーに対する抗体を用いてCTCを捕捉します。
- 微小流体力学技術: CTCの物理的特性(サイズや形状)を利用して分離します。
- フローサイトメトリー: 細胞の物理的・化学的特性を測定してCTCを検出します。
臨床応用
- がんの診断: CTCの存在はがんの診断に役立ちます。
- 治療効果のモニタリング: 治療前後のCTCの数や特性を追跡することで、治療の効果を評価します。
- 再発の予測: 治療後のCTC検出は再発の早期発見に役立ちます。
ctDNAとは?
定義
ctDNA(循環腫瘍DNA)は、がん細胞から放出される断片化されたDNAが血液中に存在するものです。ctDNAはがんの遺伝的変異や異常を反映し、非侵襲的なバイオマーカーとして利用されます。
特性
- 断片化されたDNA: ctDNAはがん細胞から放出された断片化されたDNAであり、生きた細胞ではありません。
- 短寿命: ctDNAは血液中で短期間しか存在せず、迅速に分解されます。
- 遺伝情報の提供: ctDNAはがんの遺伝的変異や異常を反映しており、がんの遺伝子プロファイルを解析することができます。
- 量の変動: ctDNAの量はがんの進行度や治療反応に応じて変動します。
検出方法
- デジタルPCR: ctDNAの特定の変異を高感度で検出します。
- 次世代シーケンシング(NGS): ctDNAの全体的な遺伝子プロファイルを解析します。
臨床応用
- がんの診断: ctDNAの遺伝的変異を検出してがんを診断します。
- 治療効果のモニタリング: 治療前後のctDNAの量や変異を追跡することで、治療の効果を評価します。
- 再発の予測: ctDNAの増加はがんの再発を示唆するため、再発の早期発見に役立ちます。
CTCとctDNAの比較
生物学的違い
- CTC: 生きた腫瘍細胞であり、完全な細胞構造を持つ。
- ctDNA: 腫瘍細胞から放出された断片化されたDNAであり、生きた細胞ではない。
検出方法の違い
- CTC: 免疫捕捉法、微小流体力学技術、フローサイトメトリーなどの技術を使用。
- ctDNA: デジタルPCR、次世代シーケンシングなどの遺伝子解析技術を使用。
臨床応用の違い
- CTC:
- がんの診断、治療効果のモニタリング、再発の予測に使用。
- 細胞レベルでの解析が可能で、細胞の物理的・化学的特性を把握できる。
- ctDNA:
- がんの遺伝的変異の検出、治療効果のモニタリング、再発の予測に使用。
- 遺伝情報の解析に特化し、がんの遺伝子プロファイルを詳細に把握できる。
メリットとデメリット
CTC
メリット:
- 生きた細胞としての詳細な解析が可能。
- 転移リスクの評価ができる。
デメリット:
- 検出感度が低く、少量のCTCを見逃す可能性がある。
- 検出技術が複雑でコストが高い。
ctDNA
メリット:
- 血液サンプルから簡便に検出可能。
- 高感度な検出技術により、低濃度の遺伝子変異も検出できる。
デメリット:
- 生きた細胞の情報は得られない。
- ctDNAの短寿命により、一時的な情報しか提供できない。
まとめ
CTC(循環腫瘍細胞)とctDNA(循環腫瘍DNA)は、がんの診断、治療効果のモニタリング、再発の予測において重要なバイオマーカーです。CTCは生きた腫瘍細胞であり、細胞レベルの詳細な解析が可能で、転移リスクの評価に役立ちます。一方、ctDNAは腫瘍細胞から放出された断片化されたDNAで、がんの遺伝的変異を高感度で検出することができます。
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