PSA(前立腺特異抗原:Prostate-Specific Antigen)は、前立腺がんの診断や治療経過の評価、再発のモニタリングに用いられる腫瘍マーカーです。PSAは前立腺の細胞から分泌されるタンパク質で、血中PSA値が高い場合、前立腺に何らかの異常がある可能性が考えられます。
PSAの主な特徴
- 対象がん:前立腺がん
- 基準値:通常、成人男性の血中PSA基準値は4.0 ng/mL以下とされますが、年齢によって適切な基準値が異なる場合があります。PSAが基準値を超えると、前立腺がんのリスクが高まると考えられます。
PSAが高値を示す場合
PSA値の上昇は、前立腺がん以外の要因でも見られることがあり、以下のようなケースで高値になることがあります:
- がん:前立腺がん
- 非がん性疾患:前立腺肥大症、前立腺炎、尿路感染症
- その他の要因:激しい運動や前立腺マッサージ、射精後にも一時的にPSAが上昇することがあります
PSA検査の用途
- 前立腺がんの早期発見:前立腺がんが疑われる場合に、PSA値の上昇が重要な指標となります。PSA検査によってがんのリスクを評価し、必要に応じて追加の診断(触診、超音波検査、生検)を行います。
- 治療効果の評価:前立腺がんの治療中にPSA値を定期的に測定し、治療効果を確認します。治療によってPSAが低下した場合、がんが抑制されていると考えられます。
- 再発のモニタリング:治療後の再発を監視するためにPSAを測定します。PSAが再度上昇した場合、がんの再発を示唆する可能性があり、さらなる検査が必要です。
PSA検査の注意点
- 単独ではがんの確定診断には使用できない:PSA値が高い場合でも、必ずしも前立腺がんであるとは限りません。前立腺肥大症や前立腺炎などの他の疾患でも上昇することがあるため、追加の診断が必要です。
- 年齢による変動:PSA基準値は年齢によって変動するため、医師は年齢に応じた正常範囲を考慮して評価を行います。
- 偽陽性・偽陰性:PSA値が高くてもがんが見つからない場合(偽陽性)や、逆にPSA値が低くてもがんがある場合(偽陰性)もあるため、慎重な判断が求められます。
まとめ
PSA検査は、前立腺がんの早期発見、治療効果の評価、再発のモニタリングにおいて重要な役割を果たしますが、PSA値だけでがんの有無を断定することはできません。他の検査方法や診断手法と組み合わせて総合的に評価する必要があります。