がんマーカー検査は、血液や尿などの体液中に含まれる特定の物質(がんマーカー)を測定し、がんのリスクを評価するための検査です。がんマーカーは、がん細胞が産生したり、がんによって体内で生成されたりするタンパク質や酵素で、がんの種類によって特有のマーカーが存在します。
代表的ながんマーカーと対象がん
- CEA(癌胎児性抗原)
- 対象がん:大腸がん、肺がん、乳がん、胃がん、膵臓がんなど
- 特徴:がんの進行度に応じて値が高くなる傾向がありますが、がん以外の疾患や喫煙者でも高値になることがあります。
- CA19-9
- 対象がん:膵臓がん、胆管がん、胃がん、大腸がん
- 特徴:特に膵臓がんに対して感度が高いとされていますが、がん以外の疾患でも上昇する場合があります。
- AFP(αフェトプロテイン)
- 対象がん:肝細胞がん
- 特徴:肝臓がん患者で高値になることが多く、肝硬変や慢性肝炎の患者でも高値を示すことがあります。
- PSA(前立腺特異抗原)
- 対象がん:前立腺がん
- 特徴:前立腺がんの早期発見に役立つマーカーであり、前立腺肥大症や炎症でも上昇する可能性があります。
- SCC(扁平上皮がん関連抗原)
- 対象がん:子宮頸がん、肺がん(扁平上皮がん)
- 特徴:主に扁平上皮がんに対して特異性があり、がんの進行度や再発のモニタリングに使用されます。
- CA125
- 対象がん:卵巣がん
- 特徴:卵巣がん患者で高値を示し、治療効果の判定や再発のモニタリングに用いられます。ただし、月経や妊娠、子宮内膜症でも上昇することがあります。
- CYFRA21-1
- 対象がん:肺がん(特に非小細胞肺がん)
- 特徴:肺がん患者で上昇することが多く、がんの進行度のモニタリングに利用されることがあります。
がんマーカー検査の注意点
- 単独での診断は不可:がんマーカーはがんの診断や再発のモニタリングに有用ですが、がん以外の原因で値が上昇することもあります。したがって、がんの診断には画像診断などの他の検査と組み合わせて総合的に評価する必要があります。
- 特異性と感度の限界:がんの種類やステージによっては、がんマーカーが上昇しない場合もあるため、万能な診断ツールではありません。
- 定期的なモニタリング:がん患者の治療効果や再発を確認するために、定期的にがんマーカーを測定することが重要です。
まとめ
がんマーカー検査は、がんのリスクを評価し、治療方針を決定する際に重要な役割を果たしますが、正確な診断のためには他の検査と併用して医師の診断を受けることが重要です。