PET(Positron Emission Tomography、陽電子放射断層撮影)検査は、がんの発見や診断において非常に有用です。PET検査では、放射性物質を体内に注入し、その物質がどのように体内で取り込まれるかを画像化します。がん細胞は通常、正常な細胞よりも多くのブドウ糖を取り込むため、PET検査ではがん細胞が集まっている箇所が明確に映し出されやすいのが特徴です。
PET検査ががんの診断に有効な理由
- 高い感度
PET検査は、通常のCTやMRIでは検出しにくい小さながんや、早期の段階にあるがん細胞も発見できる可能性があります。特に全身の画像を一度に取得できるため、がんの転移や広がりも評価しやすく、診断の精度が向上します。 - 再発や転移の評価
PETはがんの再発や転移を評価するのに特に有用で、治療後の経過観察や治療効果の確認にも使用されます。これにより、がんの残存や転移があれば早期に発見することが可能です。 - 特定のがんに対する有効性
PET検査は、特に肺がん、乳がん、リンパ腫、頭頸部がん、大腸がん、膵臓がん、食道がんなどの診断において非常に有用とされています。ただし、PET検査が適さないがんもあるため、検査の適応については医師と相談する必要があります。
PET検査のがん発見率
PET検査のがん発見率(感度)は高いとされていますが、がんの種類やステージ、検査機器の精度などにより異なります。以下のような発見率が一般的です:
- 肺がん:PET検査の感度は約90%以上で、早期の肺がんも発見しやすいとされています。
- リンパ腫:リンパ腫の発見率も高く、転移や再発の確認にも用いられます。
- 大腸がん、乳がん、膵臓がん:80〜90%の感度で診断に役立ち、特に転移がある場合に強力な検査方法です。
ただし、PET検査でも発見が難しい場合があるため、必要に応じてCTやMRI、血液検査などと併用して診断を確実にします。
PET検査の限界
- 一部のがんに不向き
PET検査はすべてのがんで万能ではなく、特に小さいがんや低代謝のがんには感度が低い場合があります。 - 偽陽性・偽陰性のリスク
炎症や感染がある部位もPETで異常として映ることがあり、これを偽陽性といいます。また、小さながんや特定の種類のがんはPETで検出されにくく、偽陰性が出る可能性もあります。
PET検査は、がんの有無や広がりを調べる上で重要なツールですが、最終的な診断は複数の検査結果を組み合わせて行うのが一般的です。