がんのスクリーニング検査

がんのスクリーニング検査には、特定のがんを早期に発見するために健康な人に対して行われる検査がいくつかあります。以下は、代表的ながんの種類と、それに対する一般的なスクリーニング検査方法です。

1. 肺がん

  • 低線量胸部CT(LDCT):
  • 対象者: 長期間喫煙している50歳以上の高リスク群。
  • 内容: 通常のCT検査よりも少ない放射線量で、肺に異常がないかを調べます。特に肺がんに対しては、早期発見が可能です。

2. 乳がん

  • マンモグラフィー:
  • 対象者: 一般的には40歳以上の女性が対象。
  • 内容: 乳房のX線撮影により、乳腺にできた腫瘤や石灰化を確認します。早期の乳がんの発見に有効です。
  • 乳房超音波(エコー)検査:
  • 対象者: 特に若い女性や、乳腺が密な女性に推奨されます。
  • 内容: 超音波を使って、しこりや腫瘤の有無を確認します。マンモグラフィーと組み合わせて使われることが多いです。

3. 子宮頸がん

  • パップテスト(子宮頸部細胞診):
  • 対象者: 20歳以上の女性に定期的に推奨されます。
  • 内容: 子宮頸部の細胞を採取し、異常な細胞(前がん状態やがんの兆候)を検出します。
  • HPV検査:
  • 対象者: 30歳以上の女性や、リスクのある女性。
  • 内容: ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が子宮頸がんの原因となるため、HPV感染の有無を確認します。

4. 大腸がん

  • 便潜血検査(FOBT):
  • 対象者: 一般的には40歳以上の人に推奨されます。
  • 内容: 便に血が混じっていないかを確認し、大腸ポリープやがんの有無を間接的に調べます。
  • 大腸内視鏡検査:
  • 対象者: 50歳以上、もしくはリスクが高い人に推奨されます。
  • 内容: 内視鏡を使って大腸の内部を直接観察し、ポリープやがんの早期発見を行います。ポリープが発見された場合、その場で除去できることが多いです。

5. 前立腺がん

  • PSA検査(前立腺特異抗原検査):
  • 対象者: 50歳以上の男性、もしくはリスクが高い男性。
  • 内容: 血液検査で前立腺特異抗原(PSA)の値を測定し、値が高い場合にがんの可能性を示唆します。

6. 肝臓がん

  • 腹部超音波検査:
  • 対象者: 肝炎ウイルス(B型またはC型)感染者や肝硬変のリスクが高い人。
  • 内容: 超音波を使って肝臓内の腫瘍の有無を確認します。定期的な検査で早期発見が可能です。
  • AFP検査(αフェトプロテイン検査):
  • 対象者: 肝炎ウイルス感染者や肝硬変のリスクが高い人。
  • 内容: 血液中のAFP値が高い場合、肝臓がんのリスクがあると考えられます。

7. 胃がん

  • 胃内視鏡検査(胃カメラ):
  • 対象者: 40歳以上、特に胃がんの家族歴がある人。
  • 内容: 内視鏡を用いて胃の内部を直接観察し、異常な細胞や腫瘍の有無を確認します。組織を採取して生検を行うこともあります。
  • バリウム検査(胃X線造影検査):
  • 対象者: 胃がんリスクが高い人や定期検診で使用されます。
  • 内容: バリウムを飲んで胃や十二指腸の内部をX線で撮影し、腫瘍や異常を確認します。

8. 卵巣がん

  • 経膣超音波検査:
  • 対象者: 家族歴がある場合やリスクが高い女性に推奨されます。
  • 内容: 超音波を用いて卵巣内の腫瘍を確認します。早期発見は難しいが、有効なスクリーニング方法の一つです。

まとめ

がんのスクリーニング検査は、がんの種類によって異なる検査が推奨され、対象者やリスクによっても検査の種類が異なります。スクリーニング検査は、がんを早期に発見することで治療の成功率を高めるために重要です。各種検査については、年齢や家族歴、生活習慣などのリスクファクターを考慮して、医師と相談しながら適切なタイミングで受けることが推奨されます。

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