甲状腺がんの治療

甲状腺がんの治療は、がんの種類(例: 乳頭がん、濾胞がん、未分化がんなど)、進行度(ステージ)、患者の全体的な健康状態に基づいて決定されます。以下に主な治療方法を示します:

1. 外科手術

  • 甲状腺全摘術(甲状腺切除術): 甲状腺がんの主な治療法で、甲状腺全体を摘出します。乳頭がんや濾胞がんなど、早期のがんであれば、手術だけで完治することがあります。
  • 部分甲状腺切除術: がんが甲状腺の一部に限定されている場合に行われます。腫瘍が片側にある場合には、片側の甲状腺のみを摘出することがあります。
  • リンパ節郭清: がんが近くのリンパ節に転移している場合、リンパ節を摘出することがあります。

2. 放射線療法

  • 放射線ヨウ素療法(I-131療法): 甲状腺がん細胞が放射性ヨウ素を取り込みやすいため、放射性ヨウ素を使用して残ったがん細胞を攻撃する治療法です。主に手術後の残存がんの治療や再発予防に用いられます。
  • 外部放射線療法: 放射線を外部から照射してがん細胞を攻撃する方法ですが、甲状腺がんの治療には一般的にはあまり使用されません。主に治療困難な未分化がんや再発の場合に考慮されます。

3. ホルモン療法

  • 甲状腺ホルモン療法: 甲状腺全摘術後や一部の甲状腺がんで使用される治療法です。甲状腺ホルモンを補充することで、体のホルモンバランスを維持し、残存がん細胞の成長を抑制します。

4. 化学療法

  • 説明: 甲状腺がんでは一般的に化学療法は使用されません。ただし、非常に進行した未分化がん(アナプラスティックがん)など、治療が困難なケースでは使用されることがあります。
  • 薬剤: 一部の症例では、分子標的治療薬や他の薬剤が用いられることがあります。

5. 分子標的療法

  • 説明: がん細胞の特定の分子や遺伝子変異をターゲットにする治療法です。特に進行した甲状腺がんや治療抵抗性のがんに対して使用されることがあります。
  • 薬剤: 例としては、チロシンキナーゼ阻害剤(例: ソラフェニブ、ラミシル)があり、進行した濾胞がんや乳頭がんに使用されることがあります。

6. 免疫療法

  • 説明: 免疫系を活性化してがん細胞を攻撃する治療法です。甲状腺がんの標準治療としてはまだ一般的ではありませんが、研究が進められています。

7. 緩和ケア

  • 説明: がんの進行や治療に伴う症状の緩和を目的としたサポートケアです。痛みやその他の不快な症状を軽減し、生活の質を向上させることを目指します。
  • 内容: 痛み管理、栄養サポート、精神的サポートなどが含まれます。

治療の選択

治療の選択は、がんの種類や進行度、患者の健康状態、治療の目標に基づいて行われます。医師と相談しながら、最適な治療法を選ぶことが重要です。また、治療後の定期的なフォローアップや検査も重要で、再発の早期発見や治療の効果を評価するために行われます。

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