PDL1 肺がん

PDL1 (Programmed Death-Ligand 1)、またはCD274とも呼ばれる、は免疫チェックポイントの一つで、免疫系の調節に重要な役割を果たします。特にがんの文脈で注目される分子であり、がん細胞が免疫系の攻撃から逃れるのを助けるメカニズムの一部です。以下に、PDL1の機能、がんとの関連、および治療への応用について詳しく述べます:

  1. 機能と生物学的役割:PDL1は主にがん細胞や一部の免疫細胞の表面に発現し、PD-1(Programmed Cell Death Protein 1)という受容体と結合します。この結合は、T細胞の活性を抑制し、免疫応答を減弱させる効果があります。これにより、通常の免疫監視を回避し、細胞が自己組織を攻撃するのを防ぎますが、がん細胞はこれを利用して免疫系の攻撃から身を守ります。
  2. がんとの関連:多くのがん種で、PDL1の過剰発現が観察され、これががん細胞の免疫逃避に寄与しています。例えば、非小細胞肺がん、腎細胞がん、メラノーマ、頭頸部がんなどでPDL1が高発現している場合があります。
  3. 免疫療法への応用:PDL1の発現は、免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれるがん治療薬の標的として使用されます。これらの薬剤(例:ペムブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ)は、PD-1またはPDL1に作用し、T細胞の抑制を解除してがん細胞に対する免疫応答を強化します。このアプローチは、特定のがんで顕著な治療効果を示し、多くの患者に新たな治療選択肢を提供しています。
  4. 診断とモニタリング:PDL1の発現レベルは、免疫チェックポイント阻害剤の治療において重要な予測因子とされており、これを測定することで、どの患者がこの種の治療から最も恩恵を受ける可能性があるかを判断するために使用されます。

PDL1の研究と応用は、がん治療の新しいパラダイムを開くものであり、これにより個別化医療がさらに進むと期待されています。

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