CTCとCellSearchの関係について
CTC(Circulating Tumor Cells, 循環腫瘍細胞)は、がんの進行や転移を評価するための重要なバイオマーカーです。CTCの検出と解析には様々な技術が用いられていますが、その中でも特にCellSearchシステムは広く利用されています。
CellSearchシステムとは
CellSearchシステムは、Veridex(現Menarini Silicon Biosystems)によって開発された、FDA承認のCTC検出および解析システムです。このシステムは、血液中のCTCを高感度かつ高特異性で検出するために設計されています。
CellSearchのメカニズム
免疫マグネティック分離:
- 抗原標的: CellSearchは、EpCAM(上皮細胞接着分子)を標的とする抗体を用いてCTCを検出します。EpCAMは多くの上皮系がん細胞で高発現しています。
- 磁気ビーズ: EpCAMに結合した抗体が磁気ビーズに結合し、磁場を用いてCTCを血液サンプルから分離します。
染色と解析:
- 免疫染色: 分離された細胞は、CK(サイトケラチン)抗体およびDAPI(DNA染色剤)で染色されます。これにより、上皮細胞(CK陽性)と核(DAPI陽性)を識別します。
- フローサイトメトリー: CellTracks Analyzer IIを使用して、CTCを自動的に検出およびカウントします。
CellSearchの臨床応用
- がん診断とモニタリング:
- 乳がん、前立腺がん、大腸がん: CellSearchはこれらのがんに対してFDA承認を受けており、CTC数の測定が診断、治療効果の評価、および予後予測に利用されています。
- 治療効果の評価:
- リアルタイムモニタリング: 治療中のCTC数の変化を追跡することで、治療の効果を評価し、治療方針を調整するための重要な情報を提供します。
- 予後予測:
- 高いCTC数: 治療前や治療中に高いCTC数が検出されると、予後が不良であることが示唆されます。これにより、患者のリスク評価と治療計画の立案が可能となります。
まとめ
CellSearchシステムは、CTCの検出および解析において標準的なツールとなっており、がんの診断、治療モニタリング、および予後予測に広く利用されています。特に、乳がん、前立腺がん、大腸がんに対するFDA承認を受けており、その信頼性と有用性が証明されています。