脂肪肉腫（しぼうにくしゅ、liposarcoma）の治療は、腫瘍のタイプ、進行度、位置、患者の全体的な健康状態に基づいて決定されます。治療の主な方法には以下のものがあります：
1. 外科手術
- 説明: 腫瘍を物理的に切除する方法です。手術は脂肪肉腫の治療で最も一般的な方法であり、腫瘍を完全に除去することが目標です。
- 局所切除: 腫瘍が比較的小さい場合や局所に限局している場合、腫瘍と周囲の健康組織を含めて切除します。
- 広範切除: 腫瘍が大きい場合や周囲の組織に浸潤している場合、腫瘍とその周囲の一部も切除することがあります。
- 再建手術: 大きな腫瘍を切除した後に、機能や外見を回復するための再建手術が行われることがあります。
2. 放射線療法
- 説明: 高エネルギーの放射線を使ってがん細胞を破壊します。放射線療法は、手術後に残存がん細胞を除去するために行われることがあります（補助療法）。また、手術が困難な場合や腫瘍が進行している場合にも使用されることがあります。
- 特徴: 放射線療法は、腫瘍の部位に痛みや皮膚の変化を引き起こすことがありますが、通常は治療後に症状が改善します。
3. 化学療法
- 説明: がん細胞を攻撃する薬物を使用します。脂肪肉腫の進行したケースや転移がある場合、化学療法が行われることがあります。また、手術前に腫瘍を縮小させるために新補助療法として使用されることもあります。
- 特徴: 薬物療法であり、点滴や経口薬で投与されます。副作用には吐き気、脱毛、倦怠感などがあります。
4. 免疫療法
- 説明: 免疫系を活性化してがん細胞を攻撃する治療法です。脂肪肉腫に対する免疫療法は、研究が進んでおり、進行したがんや再発がんに対して検討されています。
- 特徴: 免疫チェックポイント阻害剤などが使用されることがありますが、すべての患者に適応されるわけではありません。
5. 分子標的療法
- 説明: がん細胞の特定の分子や遺伝子変異をターゲットにする治療法です。脂肪肉腫の特定のサブタイプでは有効です。
- 特徴: 副作用が比較的少ないことがありますが、適応する患者が限られます。
6. 緩和ケア
- 説明: がんによる症状や痛みを軽減し、生活の質を向上させるためのサポートケアです。治療が難しい場合やがんの進行による症状の緩和に役立ちます。
- 特徴: 痛み管理、栄養サポート、精神的なサポートなどが含まれます。
治療の選択
治療の選択は、腫瘍のタイプ、進行度、患者の健康状態、および治療の目的（根治を目指すのか、症状の緩和を目指すのか）によって決定されます。多くの場合、外科手術が主要な治療法とされ、必要に応じて放射線療法や化学療法が組み合わせて使用されます。
治療方針については、専門の医師と詳細に相談し、最適な治療計画を立てることが重要です。
