乳がんの予後

乳がんの予後は、さまざまな要因によって大きく変わります。一般的な予後に影響を与える主な要因と予後の傾向について以下に示します:

1. がんの種類と病期(ステージ)

  • 病期(ステージ): がんの進行度を示す病期が予後に大きく影響します。病期が低い(ステージ I や II)の場合は、予後が良好な傾向があります。病期が高い(ステージ III や IV)の場合、予後は悪化することがあります。
  • ステージ I: 乳房内にがんが限局している場合、予後は非常に良好で、5年生存率は90%を超えることが多いです。
  • ステージ II: 乳房内または近くのリンパ節に広がっている場合、予後はやや低下しますが、治療によって改善が見込まれます。5年生存率は約70-90%です。
  • ステージ III: がんがリンパ節や周囲の組織に広がっている場合、予後はさらに低下しますが、治療により改善する可能性があります。5年生存率は約50-70%です。
  • ステージ IV: 遠隔転移がある場合(例: 肺や肝臓への転移)、予後は厳しく、5年生存率は10-20%程度です。

2. 乳がんのサブタイプ

  • ホルモン受容体陽性(ER/PR陽性): エストロゲンやプロゲステロンが関与するがんで、ホルモン療法が有効です。予後は比較的良好です。
  • HER2陽性: HER2というタンパク質が過剰に発現しているがんで、分子標的療法が効果的です。適切な治療により予後が改善することがあります。
  • 三重陰性乳がん: ホルモン受容体もHER2も陰性で、治療選択肢が限られることが多いです。予後が悪化することがありますが、新しい治療法も研究されています。

3. 年齢と健康状態

  • 若年層: 乳がんが早期に発見されることが多く、治療の反応も良好な傾向があります。予後は比較的良好です。
  • 高齢者: 高齢者ではがんの進行が早い場合があり、予後が悪化することがあります。全体的な健康状態も予後に影響を与えます。

4. 治療の反応と選択

  • 治療の効果: 治療が早期に効果を示し、がんが縮小または消失する場合、予後は改善します。治療に対する反応が良好なほど、予後が良くなります。
  • 治療の完全性: 手術や放射線療法、化学療法などが適切に行われた場合、予後が良好であることが多いです。

5. 再発リスク

  • 再発の有無: 治療後の再発リスクは予後に影響を与えます。再発が早期に発見される場合、追加の治療によって改善する可能性があります。

統計的な予後

  • 乳頭がん: 早期に発見された場合の5年生存率は90%を超えることが多いです。
  • 濾胞がん: 進行度により異なりますが、一般的に5年生存率は約85%です。
  • 髄様がん: 5年生存率は約70-80%です。
  • 三重陰性乳がん: 予後は比較的厳しく、5年生存率は50%未満であることが多いです。

これらの予後データは一般的な傾向を示しており、個々の患者によって異なる場合があります。予後に関する具体的な情報や治療方針については、専門の医師と詳細に相談することが重要です。

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