白髪ってストレスのせいかも?黒髪に戻るヒミツ、科学が解明!

黒髪

この記事の概要

「えっ、白髪って元に戻ることがあるの!?」そんな驚きの研究結果が、最新の科学から明らかになりました。日々のストレスや感情の変化が、実は髪の色にも影響しているなんて…。この研究では、髪の1本1本に記録された色の変化から、白髪とストレスのつながりが明らかに。さらに、白髪が自然に黒く戻ることもあるという事実に迫ります!美容や健康、ストレス対策にもつながる注目の内容です。

Rosenberg, A. M., Rausser, S., Ren, J., Mosharov, E. V., Sturm, G., Ogden, R. T., Patel, P., Kumar Soni, R., Lacefield, C., Tobin, D. J., Paus, R., & Picard, M. (2021). Quantitative mapping of human hair greying and reversal in relation to life stress. eLife, 10, e67437. https://doi.org/10.7554/eLife.67437

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はじめに:白髪の仕組みとストレスとの関連性に関する研究の背景

白髪(hair greying)は、加齢に伴って生じる最も顕著な外見上の変化の一つであり、一般には不可逆的(irreversible)な現象と考えられています。しかし、近年の研究では、白髪は心理的ストレスと深く関係しており、状況によっては再び色素が戻る「再色素化(repigmentation)」が起こる可能性があることが報告されています。本研究では、人間の髪の毛1本1本に沿って時間的に変化する色素の状態を詳細に追跡・定量化する手法を開発し、白髪化とその自然な回復を観察しました。さらに、髪のタンパク質組成(プロテオーム:proteome)を解析することで、細胞内代謝やミトコンドリア(mitochondria)機能との関連性も明らかにしました。

体調不全

髪に記録された過去のストレス:色素変化パターンの可視化

髪の毛(hair shaft)は、成長する過程で体内のホルモン、代謝、そして心理的ストレスなどの内的・外的要因の影響を受けます。こうした影響は、髪の構造に時系列的な情報として記録されており、まるで木の年輪のように過去の生物学的状態を「読み取る」ことが可能です。

本研究では、髪における色素沈着パターン(Hair Pigmentation Patterns, HPPs)を高解像度でスキャンし、毛先から根元までの色の変化を時間軸として再構成しました。髪の成長速度をおおよそ月1センチと仮定し、色の変化を月単位で解析することにより、髪の色素変化を定量的に可視化する手法を確立しました。

自然な白髪の再色素化:複数の実例からの発見

解析の結果、白髪化した髪が再び黒く戻る「再色素化」の現象が、健康な成人において多数確認されました。これまで白髪が自然に黒髪へ戻る事例は極めて稀で、個別の症例報告にとどまっていましたが、本研究では性別、人種、年齢、さらには体の部位を問わず、複数の髪の毛でこの現象が観察されました。

白髪から黒髪への変化の速度は、1日あたり0.1〜42.5の光学濃度単位(Optical Density Units:0〜255スケール)であり、白髪化の速度(0.3〜23.5単位/日)と同等、もしくはそれを上回る傾向がありました。これにより、色素の変化が比較的短期間で起こることが実証されました。

枝毛あるかな

電子顕微鏡によるメラニン構造の比較

電子顕微鏡を用いた観察により、黒髪にはメラニン顆粒(melanin granules)が豊富に存在している一方で、白髪にはこれらのメラニン顆粒がほとんど存在しないことが確認されました。白髪中に残存している少量のメラニン顆粒は、サイズが小さく、密度も低く、しばしば空胞(vacuoles)を形成していました。これらの変化は、メラニン細胞が酸化ストレス(oxidative stress)にさらされている可能性を示唆しています。

顕微鏡

白髪でのタンパク質発現変化とその生物学的意義

プロテオミクス(proteomics)解析により、白髪では黒髪と比較して、ミトコンドリアに関係するタンパク質や代謝関連タンパク質の発現が有意に増加していることが明らかになりました。特に、エネルギー代謝(energy metabolism)、脂肪酸合成(fatty acid synthesis)、抗酸化防御(antioxidant defense)に関連するタンパク質が顕著に増加していました。

代表的な増加タンパク質には、脂肪酸代謝に関与するカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1A(Carnitine Palmitoyltransferase 1A:CPT1A)、脂質分解に関与するアシルCoAチオエステラーゼ7(Acyl-CoA Thioesterase 7:ACOT7)、活性酸素種(reactive oxygen species, ROS)の無害化に働くスーパーオキシドディスムターゼ1(Superoxide Dismutase 1:SOD1)などが挙げられます。

一方で、メラノソーム(melanosome:メラニンを蓄積する細胞小器官)形成に関与するリソソーム関連タンパク質の一部、たとえばLAMP1(Lysosome-Associated Membrane Protein 1)は、白髪では発現が減少していました。これにより、メラノソームの形成能力が低下している可能性が示唆されます。

髪の色素変化と心理的ストレスの時系列的対応

被験者の一部については、過去1年間の心理的ストレスレベルを自己申告で記録し、そのデータを髪のHPP(Hair Pigmentation Patterns)と比較しました。その結果、強いストレスを感じていた時期に髪が白くなり、ストレスが緩和された時期に髪が再び黒くなるという、明確な時間的対応関係が観察されました。これは、心理的ストレスが髪の色素細胞の機能に直接的な影響を与える可能性を示す重要な証拠です。

数理モデルによる白髪化と再色素化のシミュレーション

研究チームは、髪の老化と白髪化のダイナミクスを再現するために、以下の要素を含む数理モデルを構築しました。

1つ目は、「加齢要因(aging factor)」の時間的蓄積です。髪の毛は時間とともに老化因子を蓄積し、一定の閾値(threshold)を超えると白髪化が生じます。2つ目は、この閾値に達するメカニズムの数理的表現です。3つ目は、ストレス要因(stress factor)が一時的に加齢要因を加速させ、急激な白髪化を引き起こすという仮説に基づく要素です。

このモデルにより、実際の人間に見られるような加齢に伴う白髪化の進行や、特定の髪の毛だけが一時的なストレスによって白髪化し、その後ストレスの軽減により黒く戻るといった現象をシミュレートすることができました。

髪

考察:白髪は本当に不可逆か?老化に対する新たな視点

本研究により、人間の白髪化現象が完全に不可逆的であるとは限らず、特定の条件下では再び色素を取り戻すことが可能であることが実証されました。これは、老化全体が一方向に進行する単純なプロセスではなく、少なくとも一部は可逆的(reversible)である可能性を示しています。

また、髪の色素変化を指標として活用することで、心理的ストレスが生体に及ぼす影響を時間的に評価する新たな方法を提供できます。髪の毛は、外部から非侵襲的に取得可能であり、個人の生理的・心理的履歴を反映する貴重なバイオアーカイブ(bioarchive)として活用できる可能性があります。

さらに、髪のタンパク質組成の変化を調べることにより、毛包(hair follicle)内部のメラノサイト(melanocyte:メラニンを産生する細胞)の代謝状態を間接的に推定する手法としても有望です。今後は、この手法を応用し、環境的・心理的ストレス要因が老化および髪の色素動態に与える影響をより詳細に解析する研究が期待されます。

ぽちっと

記事の監修者