AGAの鑑別疾患

AGA男性型脱毛症)の鑑別診断は重要であり、他の脱毛症との区別が必要です。以下に、AGAと鑑別すべき主な疾患を挙げます。

鑑別疾患

  1. 円形脱毛症(Alopecia Areata):
  • 特徴: 突然、円形または楕円形の脱毛斑が発生します。頭髪だけでなく、眉毛やまつ毛、体毛にも発生することがあります。
  • 原因: 自己免疫疾患が関与しており、免疫系が毛包を攻撃します。
  • 診断: 皮膚科医による視診や、場合によっては生検が行われることがあります。
  1. びまん性脱毛症(Telogen Effluvium):
  • 特徴: 髪が全体的に薄くなるのが特徴で、特定の部位だけが脱毛するわけではありません。
  • 原因: ストレス、出産、手術、急激な体重減少、栄養不足、薬物などの影響で毛周期が乱れ、休止期毛が増加します。
  • 診断: 既往歴の確認、血液検査、引っ張り試験(Pull Test)などが行われます。
  1. 脱毛性瘢痕性毛包炎(Lichen Planopilaris):
  • 特徴: 頭皮に炎症が生じ、瘢痕(傷跡)が形成されることで毛根が破壊され、永久的な脱毛が起こります。
  • 原因: 免疫系の異常が関与していると考えられています。
  • 診断: 頭皮の生検やダーモスコピーが行われます。
  1. 脂漏性皮膚炎(Seborrheic Dermatitis):
  • 特徴: 頭皮が赤くなり、鱗屑(フケ)が大量に発生します。かゆみや炎症が伴うことが多いです。
  • 原因: マラセチア菌の過剰増殖、ストレス、ホルモンの変動などが影響します。
  • 診断: 皮膚科医による視診や、フケの顕微鏡検査が行われます。
  1. 全身性紅斑性狼瘡(Systemic Lupus Erythematosus, SLE):
  • 特徴: 全身に及ぶ自己免疫疾患で、皮膚症状として円形の脱毛斑が見られることがあります。
  • 原因: 免疫系が自己の組織を攻撃することで、さまざまな臓器や組織に炎症を引き起こします。
  • 診断: 血液検査(抗核抗体、抗dsDNA抗体など)、皮膚生検が行われます。
  1. トリコチロマニア(Trichotillomania):
  • 特徴: 自分で髪の毛を引き抜く習慣による脱毛。頭皮に不規則な脱毛斑が見られます。
  • 原因: 精神的ストレスや強迫性障害が関与していることが多いです。
  • 診断: 患者の行動観察や心理評価が行われます。

鑑別診断の重要性

AGAの鑑別診断は、適切な治療を行うために非常に重要です。間違った診断により、無効な治療を行うと脱毛が進行してしまうリスクがあるため、専門医による正確な診断が必要です。診断には、患者の病歴、臨床症状、視診、場合によっては血液検査や皮膚生検が用いられます。

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