AGA(男性型脱毛症)の診断は、患者の症状や家族歴を考慮しながら、いくつかの方法を用いて行われます。以下に主な診断方法を詳しく説明します。
1. 問診
- 病歴の確認: 脱毛の開始時期、進行速度、家族歴、生活習慣、ストレスレベルなどを確認します。
- 症状の確認: 脱毛のパターン、かゆみや痛みの有無、他の体毛の変化などを聞き取ります。
2. 視診
- 頭皮と髪の状態の観察: 髪の密度、太さ、色の変化、脱毛パターンを観察します。
- ノーウッド・ハミルトン分類の使用: AGAの進行度を評価するために使用されます。
3. 触診
- 頭皮の状態確認: 頭皮の硬さ、痛み、炎症の有無を確認します。
4. 毛髪引っ張り試験(Pull Test)
- 毛髪の強度確認: 数十本の髪を軽く引っ張り、どれだけの毛が抜けるかを確認します。正常な毛髪は容易に抜けません。
5. 拡大鏡検査(ダーモスコピー)
- 毛包の詳細観察: ダーモスコープという拡大鏡を使い、毛包や毛幹の状態を詳しく観察します。
- ミニチュア化の確認: 毛包のミニチュア化(細く短い毛が増えること)が確認されます。
6. トリコグラム
- 毛周期の確認: 抜け毛を顕微鏡で観察し、成長期毛と休止期毛の比率を確認します。AGAでは休止期毛が増加します。
7. 血液検査
- ホルモンレベルの測定: テストステロンやDHT(ジヒドロテストステロン)のレベルを確認します。
- その他の健康状態の確認: 鉄欠乏、甲状腺機能異常、ビタミンD欠乏など他の脱毛原因を除外するための検査が行われます。
8. 頭皮生検
- 組織の詳細な分析: 必要に応じて、頭皮の一部を採取して組織学的に分析します。炎症や瘢痕化など他の脱毛症との鑑別に役立ちます。
9. 写真記録
- 進行の記録: 診断のために、脱毛の進行度を記録するための写真を撮影します。
診断の流れ
- 初診: 問診と視診を行い、脱毛のパターンや症状を確認します。
- 詳細検査: 必要に応じて、血液検査やトリコグラム、頭皮生検を行います。
- 診断結果の説明: 検査結果を基に、AGAの診断を確定し、治療方針を決定します。
診断後の対応
診断が確定したら、適切な治療法を選択します。治療法には、フィナステリドやデュタステリドの内服薬、ミノキシジルの外用薬、さらには植毛などの外科的治療があります。早期の診断と治療が、症状の進行を抑え、髪の健康を維持するために重要です。