医師解説!毛髪サイクルについて

毛髪の成長サイクルは、私たちの髪がどのように成長し、自然に抜け落ち、再び生えてくるかのプロセスのことを言います。このサイクルは、髪の健康とコンディションに大きな影響を与えるため、理解しておくと薄毛治療やケアの役に立ちます。この記事では、毛髪サイクルの主要な4つの段階—成長期、退行期、休止期、そして初期成長期—について詳しく解説し、それぞれの段階が髪にどのように関わっているかを説明します。

  1. 成長期(Anagen Phase)
    概要: 成長期は毛髪の成長が最も活発に行われる段階です。毛包の細胞が分裂し、髪が長く、太く成長します。この段階で髪の毛は頭皮から伸び続けます。
    期間: 成長期は通常、2〜7年続きます。この期間は個々の遺伝子や年齢によって異なり、一部の人では10年近く続くこともあります。
    特徴: この段階では、頭皮の髪の毛の約85〜90%が成長期にあります。成長期が長いほど、髪の毛は長くなります。
  2. 退行期(Catagen Phase)
    概要: 退行期は、成長期が終了し、毛髪の成長が停止する段階です。この段階では、毛包が縮小し、毛根が頭皮から離れ始めます。
    期間: 退行期は比較的短く、約2〜3週間続きます。
    特徴: この段階で、毛髪はもはや成長しませんが、頭皮にまだ固定されており、次の段階に向けて準備を進めています。頭皮の髪の毛の約1〜3%がこの段階にあります。
  3. 休止期(Telogen Phase)
    概要: 休止期は、毛髪が成長を完全に停止し、最終的に脱落する段階です。この段階では、毛包は休息状態に入り、新しい毛髪の成長が始まる準備が整います。
    期間: 休止期は約3〜4か月続きます。
    特徴: 休止期の終わりには、毛髪が抜け落ち、新しい毛髪が成長期に入って成長し始めます。頭皮の髪の毛の約10〜15%がこの段階にあります。
  4. 初期成長期(Exogen Phase)
    概要: 一部の研究者は、休止期の一部として「初期成長期」という段階を別途定義することもあります。この段階では、古い毛が抜け落ちる一方で、新しい毛が成長し始めます。
    期間: 初期成長期は休止期の終わりに起こり、数週間から数か月続くことがあります。
    特徴: 髪の成長サイクルが再び成長期に入るための準備段階と考えられます。
    これらのサイクルは、個々の髪の毛ごとに異なるタイミングで進行するため、通常、頭皮全体で一度に大量の髪が抜けることはありません。しかし、ストレスや病気、ホルモンの変化などにより、これらのサイクルが乱れると、脱毛が増加することがあります。

まとめ

毛髪の成長サイクルは、成長期、退行期、休止期、そして初期成長期の4つの主要な段階から成り立っています。それぞれの段階には特有の期間と特徴があり、髪の成長と脱落のリズムを形成しています。成長期は髪が最も長くなる時期で、退行期では成長が停止し、休止期では髪が抜け落ち、新しい髪の成長が準備されます。初期成長期は新しい毛が生え始める段階です。これらのサイクルは個々の髪の毛ごとに異なるタイミングで進行し、頭皮全体で一度に大量の脱毛が起こることは少ないですが、ストレスや病気、ホルモンの変化などが影響を及ぼすことがあります。毛髪サイクルの理解は、健康な髪を維持し、脱毛の原因を把握するために役立ちます。

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