男性型脱毛症(AGA)で生え際がM字型になる理由

男性型脱毛症(AGAで生え際がM字型になるのは、主にホルモン遺伝的要因によるものです。以下に、M字型の薄毛が発生する理由を説明します。

1. DHT(ジヒドロテストステロン)の影響

AGAは、DHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンの一種が、毛根に影響を与えることが主な原因です。DHTは、テストステロンが5α還元酵素によって変換されてできるホルモンで、これが毛根に悪影響を与えます。

  • DHTの作用: DHTは、頭皮の特定の部位、特に前頭部(生え際)頭頂部の毛根に強く作用し、毛根を萎縮させます。その結果、毛周期が短くなり、髪が細く短くなって抜け落ちるようになります。
  • M字型になる理由: DHTの影響は、特に額のこめかみ部分に強く現れます。この部位の毛根がDHTに敏感なため、まず生え際の両端(こめかみ部分)から髪が後退し、結果として中央部が残り、M字型のパターンが形成されます。

2. 遺伝的要因

AGAは、遺伝的要因によってDHTの影響を受けやすくなるとされています。特に、DHTに対して感受性が高い毛根を持つかどうかは遺伝で決まることが多いです。

  • 遺伝による影響: AGAは、家系内に薄毛の人がいる場合、発症する確率が高くなります。父親や祖父がAGAの場合、特定の遺伝子が影響して、その子孫も同様にDHTに対して敏感になり、こめかみ部分から脱毛が始まることが多いです。
  • 個人差: 遺伝的な要因により、こめかみ部分や頭頂部がどの程度DHTの影響を受けやすいかには個人差があり、その結果、M字型の進行パターンも異なります。

3. 頭皮のDHT感受性

DHTの影響を受けやすい部位と受けにくい部位が存在します。

  • 前頭部とこめかみ部分: この部分の毛根はDHTに対して非常に敏感です。そのため、こめかみ部分から額の髪が後退し始め、M字型の薄毛が形成されます。
  • 後頭部や側頭部: 一方で、後頭部や側頭部の毛根はDHTの影響を受けにくく、これらの部分の髪は通常薄毛になりにくいです。そのため、AGAが進行してもこれらの部分は残りやすく、髪の密度も比較的維持されます。

4. 進行のパターン

M字型の薄毛は、典型的なAGAの進行パターンの一つであり、進行度合いに応じてM字の程度も変わります。

  • 初期段階: こめかみ部分の髪が少しずつ後退し、額の生え際が次第にM字のように見えてきます。この段階では、薄毛の範囲は限定的です。
  • 進行段階: こめかみ部分の後退がさらに進み、M字型がはっきりしてきます。この段階では、生え際の中央部分はまだ比較的残っていますが、全体的に薄くなり始めます。
  • 重度の段階: さらに進行すると、M字型が顕著になり、最終的には生え際全体が後退し、頭頂部に向かって薄毛が進行していきます。

5. 治療とM字型脱毛への対策

M字型の薄毛も他のAGAと同様に、適切な治療で進行を遅らせたり、改善したりすることが可能です。

  • フィナステリドデュタステリド: これらの内服薬は、DHTの生成を抑制し、髪の毛の成長をサポートします。M字型の進行を遅らせる効果があります。
  • ミノキシジル: ミノキシジルは、血流を促進し、毛根を活性化することで髪の成長を促します。外用薬や内服薬として使用され、M字型の脱毛にも効果的です。
  • 植毛: M字型が進行しすぎた場合、植毛手術が選択肢となります。後頭部や側頭部のDHTに強い髪を移植することで、M字型の薄毛を改善します。

まとめ

M字型の薄毛は、DHT(ジヒドロテストステロン)が前頭部やこめかみ部分の毛根に強く作用し、その部分から脱毛が始まることが主な原因です。遺伝的要因やホルモンの影響が強く関与し、進行するにつれてM字型の形が顕著になります。適切な治療を行うことで、進行を抑えたり、脱毛を改善することが可能です。

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